2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群における細胞外スーパーオキシドジスムターゼの役割に関する研究
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22700706
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
亀崎 文彦 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (40535225)
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Keywords | メタボリック症候群 / 細胞外スーパーオキシドジスムターゼ / 酸化ストレス / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
人体での細胞外抗酸化防御機構において中心的な役割を担っている細胞外スーパーオキシドジスムターゼは、心血管疾患だけでなく高血圧、糖尿病、脂質異常といった様々な疾患の病因・進展に関与している。近年、メタボリック症候群の発症に酸化ストレスの増加が関連することが判明しているが、抗酸化防御機構の関与を検討した報告はない。以上より、本研究では、「メタボリック症候群発症における細胞外スーパーオキシドジスムターゼの役割の解明」を目的とする。今年度、日本原子力研究開発機構原子力科学研究所に勤務する40歳以上の男性労働者のうち、本研究参加に同意の得られた806名(平均50歳)に対し、健康診断時の内科医診察で病歴や内服薬剤等を聴取し、加えて、臍周囲径、血圧等の理学所見データと脂質、血糖等の採血データを収集した。本研究参加者のメタボリック症候群有病率は11.9%であり、平均細胞外スーパーオキシドジスムターゼ濃度は56.7ng/mLであった。また、メタボリック症候群の病因・進展に関連のあるインスリンとアディポネクチンの濃度を測定した結果、平均はそれぞれ4.27μIU/mL、4.36μg/mLであった。今後、酸化ストレス指標の検討を行い、メタボリック症候群発症には、増加した酸化ストレスだけでなく、抗酸化防御機構の障害、特に細胞外スーパーオキシドジスムターゼの分泌障害も重要な役割を担っていることを明らかにしていく。本研究は、依然として解明されていない「メタボリック症候群発症における抗酸化防御機構の関与」を検討する点に意義があり、抗酸化防御機構の修復、特に細胞外スーパーオキシドジスムターゼの分泌障害の改善が、メタボリック症候群だけでなく生活習慣病に起因した心血管疾患の新規治療戦略となる可能性があり、重要である。
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