2011 Fiscal Year Annual Research Report
「くるみん」企業の推進に関する研究-職場の次世代育成と男女平等の実現に向けて-
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22700712
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
森田 美佐 高知大学, 教育研究部・人文社会科学系, 准教授 (20403868)
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Keywords | 企業 / ジェンダー / 家族 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本において、次世代育成支援に積極的な企業、いわゆる"子育てにやさしい"企業(「くるみん」企業)が今後さらに進展していくために、どのような社会設計が必要であるのかを、個人と家族の生活の質向上とジェンダー平等の視点から明らかにすることである。 本年度は、主に以下2点を中心に調査・研究を行った。第1に、「くるみん」企業の次世代育成支援策の量的・質的データを考察した。第2に、「くるみん」企業に勤めている雇用者の中で、特に女性専門職として働く者へのインタビュー調査を実施した。更なる検討・分析が必要であるとは思われるが、現状として次の知見が見られた。 1つ目は、大都市でなくても、そして従業員が少なくても、「くるみん」マークを取得できるような(あるいはその認定を受けられるレベル以上の)質の高い次世代育成支援を積極的に行っている企業が存在していることである。但し、「くるみん」マークを取得している企業の業種や本社所在地に、偏りがないとは言い難い。2つ目は、「くるみん」企業の次世代育成支援に関して、女性従業員の活用に対する考え方が必ずしも同じではないことである。「くるみん」企業の中でも、例えば子育て期の女性活用に関して、女性社員を長期的に休業させることに賛成する企業と、長期休業を職業人としてのキャリア形成の阻害と考え、子どもが小さくても可能な限り職業生活を経験できるキャリア形成を提案する企業が見られた。そして第3に、「くるみん」企業で女性かつ専門職として働く者は、自社の子育て支援を評備しつつも、足りない部分は自助努力で賄って仕事と家庭を両立させている様子がうかがえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「くるみん」企業の次世代育成支援に関して、支援策の内容をデータとして詳細に扱うことによって、この施策が労働市場における男女共同参画を推進するのかどうかを検討できているため。また、インタビュー調査によっても、この問題の検討はできていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では、主に企業に対する調査、従業員に対する調査を遂行することができたため、今後は、対象者の輻を広めて、行政や消費者、そして一般市民など、生活者に焦点をあて、生活者が本当に望んでいる、"企業の次世代育成支援"とは何かを明らかにしていきたい。そして、企業に影響力をもつ主体が、どのような意識をもち、どのような行動に出ていくことが、結果として次世代育成支援に積極的な企業を生み出し、ひいては子育てにやさしい社会の実現に向かうことができるのかを考えていきたい。
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