2010 Fiscal Year Annual Research Report
食品に利用可能な大量分画法によるバイオ燃料副産物から酸化を抑制するペプチド分離
Project/Area Number |
22700736
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
朴 恩榮 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (50405239)
|
Keywords | 抗酸化 / ペプチド / 大量分画法 |
Research Abstract |
平成22年度は、小麦グルテンペプチドを食品工業に使われる酵素で切断したタンパク質分解物を出発材料として用いた。小麦グルテンペプチドをそのまま、または分画物をミートパテに添加し、脂質の酸化を評価し、活性の強いペプチド画分を得ることを目的とした。ペプチドの分画には、通常逆相HPLCが利用されるが、HPLCでは食品に利用できる量を分画することが困難である。そこで、本研究では、サンプル自身の等電点の多様性を用いて、アンフォラインフリーの調製用の等電点電気泳動であるAutofocusing装置を使ってのペプチドの分画を行った。この方法は大量分画が可能で、また有機溶媒などを必要とせず、食品での評価に適している。食品タンパク質の酵素分解物をAutofocusing方法により分画し得たペプチド画分と分画前の各ペプチドを豚肉パテに添加後、そのまままたは加熱調理し、冷蔵及び室温保存した。保存期間中の脂質の酸化程度を過酸化脂質分解物であるマロンジアルデヒド(MDA)の濃度を測定することにより食品中での抗酸化活性を評価した。豚挽肉を生の状態で保存した場合、いずれのペプチドAutofocusing画分混合物を添加した場合にも対照群と比較して有意な変化は見られなかった。一方、豚挽肉を加熱調理後に保存した場合では、小麦グルテンペプチドAutofocusing画分混合物を添加したいずれの群でも、対照群と比較してMDA濃度は低かった。また、1%小麦グルテンペプチド添加群と対照群間での嗜好型官能検査の結果、対照群と比べ嗜好性に有意な差は見られなかった。このことから、1%小麦グルテンペプチドの添加によっても豚挽肉の嗜好性は低下しないことが確認された。以上の結果から、グルテンペプチドを食品に添加した場合、抗酸化活性を示すことが分かった。さらに、Autofocusing方法により食品中での抗酸化活性の強いペプチド画分を調製することが可能であることが示唆された。このことより、小麦グルテンペプチドが有効な抗酸化剤になり得ることが示唆された。
|