2011 Fiscal Year Annual Research Report
紫黒米の調理・加工過程におけるアントシアニン成分とその機能性の挙動に関する研究
Project/Area Number |
22700737
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
比江森 美樹 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (80326412)
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Keywords | 紫黒米 / アントシアニン / シアニジン3-グルコシド / 製パン / プロトカテキュ酸 |
Research Abstract |
紫黒米は、色素成分として抗酸化能をはじめ様々な生理機能を有するアントシアニンのシアニジン3-グルコシド(C3G)を含有するため、紫黒米を調理・加工した食品は機能性食品としての利用が期待される。しかし、C3GはPCA(プロトカテキュ酸)に容易に分解するが、紫黒米の調理・加工後の機能性は十分理解されていない。本研究では、紫黒米粉食パンを作成し、紫黒米粉食パンの機能性食品としての有効性について、加工から摂取後の生体内での効果の検討を目的とした。 本年度は紫黒米配合パンおよび原材料の酸性エタノール抽出液の抗酸化能と抗アレルギー効果を指標に、加工後の機能性とアントシアニン成分との関連性について、前年度に定量したC3Gおよびその加熱分解産物であるPCAの含有量と併せて検討した。 抗酸化能は親水性ORACにより検討し、黒米粉の添加により無添加の約2倍のORAC値を示し、さらにその効果は製パン後に有意に上昇した。さらに、標準物質のORAC値については、C3Gと比較してPCAにおいて高値を示した。加工後にはC3Gの約8割は分解してPCAを生成することから、製パン後に上昇したORAC値はC3Gの分解物であるPCAに起因することを示唆した。 抗アレルギー効果は、RBL2H-3細胞による脱顆粒抑制効果を指標に検討した。黒米粉添加による抑制効果は認められなかったが、製パン後に高くなることが示された。しかし、C3GとPCAの抑制効果は同程度であり、製パン後に上昇した効果は他の物質に起因することが示唆された。 以上の結果から、アントシアニン由来の抗酸化能は、加工後にはC3Gの分解産物のPCAに起因して高くなるが、一方で、脱顆粒抑制効果には変化を及ぼさないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験系も確立していたこと、さらに大学院生の協力もあったことから、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に試験管実験あるいは培養細胞レベルで検討した機能性(抗酸化能および抗アレルギー効果)について、当初の計画通り、動物実験によりその効果の程度を明らかにする予定である。実験手法も確立しており、現在のところ問題はないものと考える。
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Research Products
(3 results)