2011 Fiscal Year Annual Research Report
栄養状態が生殖系に与える影響とそのメカニズムの解明
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22700749
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堤 理恵 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80510172)
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Keywords | ゴナドロピン / mTOR / kisspeptin / レプチン |
Research Abstract |
食生活が生殖系に与える影響は大きく、肥満男性の生殖機能低下や肥満女性の流産リスクの上昇、低栄養者の性周期異常などはよく知られている。しかしながら、その具体的な原因因子や改善策、メカニズムについては明らかではない。 本研究では、栄養シグナルである代謝系と、ゴナドロピン(LH、FSH)生殖ホルモンとの関わりとそのメカニズムを、細胞のエネルギー状態のセンサーであるmTOR分子、その下流分子であるkisspeptinに焦点をあてて解析を行い、これらがkey regulatorとして機能していることを明らかにした。また、過剰栄養が生殖系に与える影響としてレプチン濃度に注目した。マウスに高脂肪食を摂取させるとレプチン濃度が上昇したが、これと一致して脳内のmTORの活性は低下し、ゴナドトロピン分泌は低下した。また、規則的に絶食させたマウスでは、同じくゴナドトロピン分泌は低下し生殖能力が低下していることが示唆された。この場合もmTOR及びkisspeptinの発現・活性は低下していた。さ、らにこの低栄養マウスに対し、mTORを活性化することが知られているロイシンを付加したところ、ゴナドトロピン濃度は有意に改善された。またmTORノックアウトマウズではこの効果がみられなかった。mTORノックアウトマウスの生殖能力が低く、ヘテロザイガスノックアウトマウスしか繁殖できないこともこれと一致していると考えられた。 本研究は栄養代謝系と神経内分泌系を結ぶネットワークの重要分子としてmTORとkisspeptinが機能していることを培養細胞系及びマウスにおいて明らかにし、さらに肥満や低栄養がこの機能を大きく低下させることを示した。この成果は生殖機能低下に対するメカニズムを栄養学的原因から明らかにすることで、肥満の改善の重要性及びロイシン付加の効果を提案するものとなった。
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Research Products
(5 results)