2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳血流および自律神経活性の分析による欠食と認知機能との関連性の研究
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22700754
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
澤井 明香 千葉県立保健医療大学, 健康科学部・栄養学科, 助教 (00454330)
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Keywords | 朝食欠食 / 脳血流 / 自律神経活性 / 精神活動 / 交感神経 / 副交感神経 / NIRS |
Research Abstract |
本研究では欠食と認知機能(特に顔や顔表情の認知)の関連性を検討することを目的とする。本年は、欠食と認知機能に関する疫学調査の実施と、翌年23年度に精密機器を用いた生理実験を行うための予備実験の施行をおこなった。 (1)小学5年生88名を対象にして、P.Ekman氏の顔認知研究用の顔写真を用いて、顔再認課題(顔再認試験と顔表情の主観的評価)を10時~11時の時間帯に施行した。顔再認試験は30秒間記憶した1枚の写真をランダム配置された1シートにつき56枚の顔写真から1枚選択させる内容であり、8種類(怒り、平静、恐れ、嫌悪、幸福、悲哀、驚き、軽蔑)の顔表情の課題の合計遂行数は、欠食日が摂取日よりも平均値が低下し、合計正解率は、男女共に欠食日で有意に低下した(p<0.05)。顔表情別の比較では、欠食日での幸福、平静、悲哀の正解率の平均値の低下がみられ、影響は男児で大きかった。主観的評価についても、欠食日が摂取日よりも得点の平均値が低下した。 (2)大学生35名に対して、朝食摂取日と欠食日に、認知課題(ストループ、顔再認、暗算)を施行すると欠食日は3種類の課題の回答数は有意に低下し、さらに顔再認は正答率も有意に低下したため、欠食日は特に顔認知機能が低下する可能性が示唆された(p<0.05)。 (3)思春期生徒および成人の朝食摂取日と欠食日の精神課題解答時の脳血流および自律神経活性を測定し、自律神経活性の変動が思春期で有意に高値を示した。本内容は第回日本栄養食糧学会のトピックス演題に選出された。 (4)思春期生徒80名に対して、簡易検査(認知課題、フリッカー値等)を体験した学級と講義のみの学級を比較すると、欠食検査体験学級は、欠食に関するアンケートの回答率や回答文字数が有意に上昇し、簡易医療検査を用いた栄養指導は有効であることがわかった(p<0.05)(未発表)。 来年度に向けて、脳血流計の装着位置の検討などを予備的実験として実施した。本年は概ね予定通りの進行が行えた。
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