2011 Fiscal Year Annual Research Report
満腹度の客観的評価法の確立-科学的根拠に基づいた肥満予防・治療へのアプローチ-
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22700756
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
佐久間 理英 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (10551749)
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Keywords | 食欲 / 満腹度 / 肥満 |
Research Abstract |
肥満を特徴とするメタボリックシンドローム(MS)の人口は増加の一途を辿っており、予防や治療には、過食を防ぎ、適正なエネルギー摂取量を遵守することが重要である。そのためには、高い満腹度が得られ、かつ持続する食事が望ましく、このような食事を考案するには、生体が感じる満腹度を正確かつ客観的に評価する必要がある。そこで本研究は、満腹度の客観的評価法を確立し、MSの予防や治療に適した食事療法の構築に寄与することを目的とする。2010年度の研究結果より、健常者において食後の満腹度は、血糖値と血清インスリン濃度を組み合わせることで評価できる可能性が示唆された。そこで2011年度は体格の異なる対象者においても同様の関連性が見いだせるかを検討した。体格指数(Body Mass Index;BMI)が19.3~28.9kg/m^2の22名を対象として基準食の負荷試験を行い、食後経時的に採血と、Visual Analog Scale(VAS)による主観的な満腹度の測定を行った。採取した血液から、食後の満腹度に影響を与えると報告のある血糖値や血糖値の変化に伴い変動する血清インスリン濃度、遊離脂肪酸濃度を測定した。対象者をBMI正常群とBMI高値群に分け、各種血液パラメータと主観的な満腹度との関連性を解析したところ、両群において血糖値と血清インスリン濃度は食後の満腹度と有意に正の相関を示した。以上の結果から、肥満者においても健常者と同様に血糖値と血清インスリン濃度を組み合わせることによって食後の満腹度を評価できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、体格の異なる対象者において、満腹度と血液パラメータとの関連性を比較検討することが出来たため、本研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年度までの研究により、いかなる体格の対象者においても、基準食を負荷した際の満腹度は血糖値と血清インスリン濃度により評価できる可能性が示唆された。2012年度は、基準食以外の異なる食品を摂取した場合においても、同様の関連性が見られるかを検討する。対象者は、本大学倫理委員会の審査に基づき、本試験の内容等を十分に説明したうえで、本人の自由意思による同意の得られた者のみとする。これまでと同様の手法を用い、各種試験食の負荷試験を実施する。食後に継時的な採血およびVAS法(Westerterp-Plantenga et al:Physiol Behav.61:343-349,1997)による被験者の主観的な満腹度の測定を行う。形状の違いが満腹度変動パターンに影響を及ぼすか否かを検討する。
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Research Products
(8 results)