2010 Fiscal Year Annual Research Report
鶏卵中L-PGDSによる卵アレルギー発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
22700757
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
鈴木 麻希子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (60437001)
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Keywords | 卵アレルギー / Lipocalin-type prostaglandin D synthase |
Research Abstract |
【目的】これまでに我々は、鶏卵白中に含まれるLipocalin-type prostaglandin D synthase(L-PGDS)の組み換え型鶏L-PGDSを大腸菌にて発現させ、精製した組み換え型鶏L-PGDSをマウスにovalbumin(OVA)と共に経口投与するとOVA特異的IgEを上昇させることを明らかにした。本研究では、L-PGDSによるOVA特異的IgE上昇のメカニズムを明らかにし、その治療・予防のための新たな標的分子の解明を目的に行った。【方法】(1)OVA感作マウスを作製し、生理食塩水(生食)、OVA、OVA/L-PGDSをそれぞれ経口投与した3群について、脾臓中のサイトカインならびに転写因子のmRNA発現をreal-time RT-PCR法にて比較検討した。(2)鶏卵中のL-PGDS量を明らかにするため、鶏卵の保存期間および鶏卵種によるL-PGDS量をELISA法にて比較検討した。【結果】(1)IL-4、IL-5のmRNA発現量はOVA/L-PGDS群でOVA群に比べ有意に高値であった。しかしながら、GATA-3、NFAT2の発現量に有意差は見られなかった。一方、IL-10はOVA群で生食群に比べ有意に高く、OVA/L-PGDS群で抑制傾向であった。IL-2のmRNA発現量はOVA群でOVA/L-PGDS群に比べ有意に高かった。 Foxp3の発現量に有意差はなく、TGF-βはOVA/L-PGDS群で有意に高かった。(2)卵白中L-PGDS量の測定は、ELISAの感度を上げるため、変性条件で行った。また、鶏卵中に存在する主要タンパク等の成分がL-PGDSと競合したため、内部標準を用いて測定を行った。その結果、卵白中L-PGDSは鶏卵種および保存期間によって異なり、その範囲は240~700μgであることを明らかにした。【結論】(1)L-PGDSはIL-2、IL-10の発現を抑制し、OVA特異的IgEを上昇させている可能性が示唆された。(2)今回は、鶏卵白中のL-PGDSを卵白粗抽出液を用いて測定を行ったが、今後、精製段階を踏み、回収率を加味した卵白中L-PGDS量を明らかにし、今回の結果と比較する必要があると考えられる。
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