2011 Fiscal Year Annual Research Report
鶏卵中L-PGDSによる卵アレルギー発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
22700757
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
鈴木 麻希子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (60437001)
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Keywords | 卵アレルギー / lipocalin-type prostaglandin D synthase / ovalbumin |
Research Abstract |
【目的】これまでに我々は、鶏卵白中に含まれるLipocalin-type prostaglandin D synthase(L-PGDS)の組み換え型鶏L-PGDSを大腸菌にて発現させ、精製した組み換え型鶏L-PGDSをマウスにovalbumin(OVA)と共に経口投与すると(OVA/L-PGDS投与群)、OVA単独投与群および生食投与群に比べ、OVA特異的IgEが上昇し、脾臓中のIL-4、IL-5のmRNA発現量も上昇することを明らかにした。本研究では、このメカニズムをさらに詳細に明らかにすることを目的に行った。【方法】I.L-PGDSによるOVA特異的IgE上昇にL-PGDSの酵素活性が関与している可能性を明らかにするため、組み換え型鶏L-PGDSを(1)未処理(2)ペプシン処理(3)トリプシン処理(4)ペプシン+トリプシン処理に分け、酵素活性の測定をPGD_2 EIA kitにより行った。ペプシンおよびトリプシンによる酵素消化は基質と酵素の割合が100:1になるようにし、ペプシン処理は37℃で30分、トリプシン処理は37℃で2時間行った。L-PGDSの酵素反応は常法を用い、25℃、1分で行った。II.脾臓中で見られたIL-4、IL-5のmRNA発現量の上昇をタンパク質レベルで確認するため、血清中のサイトカイン測定をCytometric Beads Array(CBA)法により行った。【結果】I.組み換え型鶏L-PGDSは4.4nmol/min/mgの活性を持ち、その活性はペプシン処理後も60%維持され、トリプシン処理によって失活した。II.血清中IFN-γはOVA群OVA/L-PGDS投与群に比べ有意に高かった。【結論】L-PGDSはペプシンに耐性を示すことから、経口的にL-PGDSを摂取した場合、胃内においては酵素活性が維持されていることが示唆された。したがって、L-PGDSによるOVA特異的IgEの上昇機構には、酵素活性が関与していることが考えられる。また、OVA/L-PGDS投与群はOVA単独投与によるTh1細胞への分化を抑制することが示唆された。
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Research Products
(2 results)