Research Abstract |
これまで食生活に関する研究は枚挙に暇がないほど行われているが,社会文化的自己観の観点から食生活に対する態度や食行動を比較した研究はない.さらに,個人の食事内容をカメラ付き携帯電話等で撮影し,インターネット経由でその内容を分析し,栄養指導に役立てる試みがなされ始めたが,そのデータを栄養指導以外に活用する試みはほとんどなされていない.そこで,大学生を対象に社会文化的背景の類似している東アジア文化圏(日本,韓国),異なる文化圏(オーストリア,ナイジェリア)で調査を実施し,食行動に関する考え方や実際の食事内容を比較分析することとした.また,世代間による食事内容の違いについても検討するため,中・高生を対象に予備的な調査も同時に実施した.23年度は調査実施を中心にデータ収集を行った.まず,所属大学において調査内容に関する一般倫理審査を受け,調査実施の承認を得た.倫理委員会が存在しなかった調査校においては,学長,校長または学生部長の許可を得て調査を実施した.オーストリアにおいては,24年度に長期滞在(6ヶ月)が可能となったため,予備調査のみ実施した.ナイジェリアにおいては,現地調査並びに食事内容の写真撮影が困難であったため,質問紙調査のみを行った.調査実施に際しては,説明会を開催し,同意書が提出された協力者を対象とし,同意書内容に応じた調査を実施した.質問紙に加え,体組成測定,食事内容の写真撮影までの協力が得られたのは60名程度であった.質問紙調査についてはデータ入力を行うとともに撮影された食事内容についてはインターネット経由で分析を依頼し,その分析結果は,調査協力者に返却した.中学生,高校生においては食生活を見直すきっかけとなったとの感想が得られた.写真撮影された食事内容から,大学生は中・高生に比較し,日本,韓国ともに簡便な食事内容となっており,大学生への食生活支援の重要性が示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想以上に食事写真撮影の協力者が得られない状況であるが,韓国,日本においてデータの収集ができた.さらに,食事写真のデータの要請はできなかったが,アジア,ヨーロッパに加えて,アフリカ(ナイジェリア)で質問紙調査ができた.日本においては,少人数ではあるが中・高生の食事写真撮影の協力が得られた.23年度にオーストリアにおいて調査を行う予定であったが,24年度に調査予定国への長期滞在が可能となったので,24年度に行う予定である.
|