2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700761
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 彰子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (90348144)
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Keywords | フラバノン / 人口脂質膜 / Caco-2 / pH分配仮説 / 消化管吸収 |
Research Abstract |
22年度はイソフラボンアグリコンが消化管において、pH依存型の受動拡散により高い吸収性を示すことを明らかにした。23年度はイソフラボン以外のフラボノイドアグリコンについても詳細な消化管吸収機作を解析し、吸収特性を明らかにすることを目的とした。フラバノンアグリコン(ヘスペレチン(HES)、ナリンゲニン(NAR)、エリオディクトール(ERI)、サクラネチン(SAK)、ホモエリオディクトール(HERI))の人工脂質膜(PAMPA)およびCaco-2単層膜の透過試験により詳細な作用機序を解明した。PAMPAはMultiScreen Filter Plateを用いて、レシチン/ドデカン溶液により人工擬似膜を作成し、一定時間後のdoner側からaccepter側への化合物の透過量をクーロメトリック式HPLC-ECDで測定した。Caco-2細胞は、トランズウエルの透過性フィルター上に播種し、2週間以上培養したものを用い、速度論的な透過速度の解析を行った。比較の為、透過機作が解明されている薬物(acetaminophen、antipyrine等)も同様に解析した。PAMPAによる透過速度は化学計算ソフト(Marvin Sketch program:http://www.chemaxon.com/marvin)によって算出されたlogD値と正の相関を示した。HES、NAR、ERI、およびHERIはPAMPAにおいてもpH依存型の透過性が観察され、計算ソフトによる分子型存在比より、これらの化合物はpH分配仮説により速やかに受動輸送されていることが示唆された。実際の消化管においても、消化管上皮細胞の管腔側では逆輸送体が存在するため、小腸の頂側膜にはNa^+/H^+逆輸送体があり、頂側膜近傍は消化管管腔内よりも低いpH(pH6.1~6.8)が維持されているため、これらのフラバノンは速やかに吸収されることが推定される。一方、Caco-2細胞においては著しい温度依存性と、特異的なアミノ酸修飾による透過抑制が観察された。
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Research Products
(1 results)