2011 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪肝炎進展に与える脂肪・コレステロールの影響とそのメカニズム解析
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22700764
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
北森 一哉 金城学院大学, 生活環境学部, 准教授 (80387597)
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Keywords | NAFLD / NASH / SHRSP5/Dmcr / 脂肪 / コレステロール |
Research Abstract |
これまで、優れた非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデル動物を開発してきた。この動物は、高脂肪・コレステロール(HFC)食の比較的短い期間の摂取で、NASHのほぼ全てのステージ(脂質沈着・炎症・線維化による偽小葉形成)に進展する。NASH進展に脂肪とコレステロールのどの成分が主要な役割を担うのか興味が持たれる。そこで、まず、摂取するHFCの量を段階的に変化させることにより、HFCがNASH進展に及ぼす役割を明らかにした。次に、肝障害の原因がHFC飼料の脂肪によるものなのかコレステロールによるものなのか明らかにすることを今年度の目的とした。 SHRSP5/DmcrはArteriolipidosis-prone rats(ALR)と呼ばれており、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)の亜系統であり、金城学院大学のSPF施設で、系統維持している。動物は雌性ALR10週齢を、餌はHigh Fat Cholesterol(HFC)diet、HFCのコレステロール添加をしない餌High Fat diet(HF)とコントロールとしてSHRSP系統の普通食として使用されているSP dietを用いた。摂餌期間は先行研究で架橋状況の線維化が認められた8週間とした。 肝臓の形態において、HFC diet群はSP diet群に比較して白色化が進み、硬化も進んでいた。しかし、HF diet群はHFC diet群に比較して、白色化が進んでおらず、SP diet群に近い形態であった。血中のALT、AST、γ-GTPなど肝障害のマーカーもHFC diet群で高値を示し、HF diet群はSP diet群に近い値であった。 これらのことより、本モデル動物の肝臓障害における原因がコレステロールである可能性が高まり、今後のNASH食事療法の確立に役立つデータであると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の申請で大きく2つの実験を計画している。一つ目は、HFCの容量依存性について、二つ目は、コレステロールと脂質の影響について。2年を経て23年度に行なう予定の組織学的検討が遅れているが、2つの実験は問題なく実施することができているため、おおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
組織学的検討は自身で薄切から染色まで行なう予定であったが、当初の計画より、少し遅れているため、パラフィン包埋済みのサンプルを薄切と染色の工程を外注に出すことにより、研究スピードを上げたいと考えている。自身は血中と肝臓中の炎症のマーカーや脂質沈着の測定を行う。また、外注から帰ってきた後、画像を取り込み数値化により病態の客観的評価を行なう。その後、総合的な評価を行う。
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Research Products
(8 results)