2010 Fiscal Year Annual Research Report
大腸炎ラットにおけるペプチド輸送担体の大腸異所発現の機構解明とペプチド食の影響
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22700768
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
白神 俊幸 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 准教授 (70363596)
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Keywords | 大腸炎 / PEPT1 / Caco-2細胞 / LPS / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎やクローン病は、未だ詳細な原因が明らかにされていない難治性の炎症性腸疾患である。本疾患患者や実験的大腸炎ラットにおける報告から、大腸における小腸ペプチド輸送担体(PEPT1)の異所性発現が炎症性腸疾患の炎症誘発に、小腸における発現低下が低栄養に深く関与することが推測され、これらの背景にIFN-γ、TNF-α、IL-1βといった炎症性サイトカインやリポポリサッカライド(LPS)が関与することを示唆するデータも蓄積されつつある。 そこで本研究では、大腸異所発現および小腸発現低下と炎症性サイトカインおよびLPSの関与についてin vitroの系で調べるため、ヒト腸管由来Caco-2細胞の単層培養系を用い検討した。その結果、Caco-2細胞の刷子縁膜側および基底膜側のLPS刺激により、PEPT1のmRNAレベルには影響がないものの、たん白質レベルが約50%に低下することが明らかとなった。また、PEPT1たん白質と輸送活性の上昇が報告されているIFN-γやTNF-αによる基底膜側からの刺激において、PEPT1mRNAレベルが変化する傾向が認められなかった。 以上より、LPS刺激によるPEPT1発現低下は、転写後の調節が関与することが示唆された。また、本実験系においては全細胞抽出液を用いて検討しているため、膜へのソーティングの変化が関与している可能性は考えにくく、新規たん白質合成の低下あるいはたん白質分解系の亢進による可能性が考えられた。現在、細胞の各画分における発現量の比較、たん白質分解系の阻害による影響等について検討する準備を始めている。さらに、サイトカイン刺激によるPEPT1mRNAレベルへの影響の有無については再現性を検討した上で、たん白質レベルにおける発現調節を上記と同様に調べる必要がある。
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Research Products
(4 results)