2011 Fiscal Year Annual Research Report
大腸炎ラットにおけるペプチド輸送担体の大腸異所発現の機構解明とペプチド食の影響
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22700768
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
白神 俊幸 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 准教授 (70363596)
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Keywords | PEPT1 / LPS / NF-κB / Caco-2 / 単層培養 / 基底膜 |
Research Abstract |
これまでに、炎症性腸疾患時におけるPEPT1輸送担体の大腸異所発現および小腸発現低下と炎症性サイトカインおよびリポ多糖(LPS)の関与について、ヒト腸管Caco-2細胞の単層培養系を用いたin vitroの系において検討してきた。その結果、Caco-2細胞の刷子縁膜側および基底膜側のLPS刺激によりPEPT1のmRNAレベルには影響がないものの、基底膜側からのLPS刺激に特異的に反応し、PEPT1たん白質レベルが低下するという結果を得ている。 そこで本年度は、LPSシグナルの下流において活性調節を受けることが知られているNuclear Factor-κB(NF-κB)を阻害した場合のPEPT1発現に与える影響を検討した。すなわち、NF-κB阻害剤(BAY-11)によるプレトリートメント後に、基底膜側からのLPS刺激を行った場合、BAY-11の添加濃度に依存してPEPT1たん白質の発現量がコントロール群レベルまで回復することが明らかとなった。本実験では、細胞の全抽出たん白質を用いて検討しているため、LPS刺激によるPEPT1たん白質の発現低下に細胞膜へのソーティング量の変化が関与しているのではなく、NF-κBシグナルの下流において新規たん白質合成の低下、あるいはたん白質分解の亢進のどちらかに依存していることが示唆された。また、この結果が本疾患時における小腸PEPT1の発現低下に一部関与している可能性も示唆された。現在、引き続き、NF-κBシグナルの下流の調節を含め、LPS等炎症惹起物質による影響を詳細に検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度中にin vitro培養細胞系におけるヒトPEPT1の調節機構の検討を終了し、ラット大腸炎モデルを用いた動物実験を開始する予定であったが、培養細胞実験の過程で添加試薬類のロット変更・確認と再現性検証を行う必要性が生じ、再度実験を行ったため、動物実験計画が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、炎症性腸疾患モデルラットにおける腸管PEPT1の調節機構を、腸管の部位による調節の差異に着目して解析する。それらの結果を踏まえ、摂取した食餌中窒素源の違いが大腸炎ラットの腸管PEPT1発現および炎症や栄養状態のパラメーターへ与える影響を調べる。
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Research Products
(1 results)