2010 Fiscal Year Annual Research Report
安全な鶏肉供給を目指した薬剤を使用しない新規原虫感染制御法の開発
Project/Area Number |
22700773
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Research Institution | Osaka Yuhigaoka Gakuen College |
Principal Investigator |
松林 誠 大阪夕陽丘学園短期大学, 動物衛生研究所細菌・寄生虫病研究チーム, 主任研究員 (00321076)
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Keywords | Eimeria原虫 / トランスクリプトーム / 特異分子 / Apicomplexa |
Research Abstract |
鶏に寄生する原虫類の中でも、Eimeriaは養鶏産業における経済的損失が大きい。感染鶏は下痢、血便等により肥育効果が低下し、重篤例では死亡する。現在、防除法として抗コクシジム剤による予防的飼料添加が行われているが、鶏肉への薬剤残留問題から厳しい使用制限がある。食品衛生の観点から、人体に影響のない、より安全で効果的な防除法の開発が強く望まれている。本研究では、新規薬剤・ワクチンターゲットとなる原虫特異分子を同定するため、Eimeriia原虫の生態にアプローチし、病態発現に関わる分化・増殖機構の解明を目指した。まず、網羅的にEimeria原虫発現遺伝子情報を得るため、トランスクリプトーム解析を行った。外界発育ステージから高純度のmRNAを精製し、cDNAを作製、超高速シークエンサーにより塩基配列を決定した。その結果、25,000を超えるcontig配列が得られ、既知のEimeria遺伝子と相同性の高かったものは3割程度であった。NCBI等での登録遺伝子数が少ないこから、今回の結果はE. tenella新規遺伝子を多く含んでいる可能性が示唆された。さらに別種Apicomplexaの登録配列でBlast相同性検索を行い、Eimeria新規遺伝子のannotation付けを行った。また、鶏腸管内における原虫発育環の同定を詳細に行い、最も病原性の高いステージの虫体を精製した。in vitroで培養したところ、ミトコンドリアを有しないクプスポリジウム原虫とは異なり長期にわたり生存することが分かった。組織内発育中の虫体から高純度のmRNAを単離・精製にたことから、今後、本ステージに着目したトランスクリプトーム解析を行い、発現遺伝子を比較、解析する予定である。
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Research Products
(2 results)