2010 Fiscal Year Annual Research Report
主観的規範が消費者のバイオテクノロジー応用食品購買意思に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
22700775
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
木村 敦 東京電機大学, 情報環境学部, 助教 (90462530)
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Keywords | 食品 / 消費者行動 / リスクコミュニケーション / ステレオタイプ / 食習慣 / 主観的規範 |
Research Abstract |
本研究は、遺伝子組換え(GM)やクローン牛肉といったバイオテクノロジー応用食品に対する消費者の態度や購買意思に影響を及ぼす社会心理学的要因を明らかにするとともに、これらの食品に関する効果的なリスクコミュニケーションの手段を検討することを目的とする。 平成22年度にはまずGM食品に関する消費者の多面的なステレオタイプの抽出を実施した。調査(N=300)の結果、GM食品の購買意思にはGMに対する消費者自身の態度、および主観的規範(家族など重要他者がGM食品に対してどのような態度をもっていると思うか)の両者が影響を及ぼすことが示された。これら態度や主観的規範とGM食品に対する信念・ステレオタイプとの関係を調べたところ、態度には「家族思いな」というステレオタイプが正の影響を、また「倫理的問題」といった否定的信念が負の影響を及ぼすことが示された。このことはGM食品に対する態度形成には、倫理観や「GM食品を買うことで家族思いでない人間に見られるのではないか」といったステレオタイプへの配慮が必要であることを示唆する。また、主観的規範に影響を及ぼす信念(重要他者の信念推定)には、「食料不足解消」、「長期的安全性」、「倫理的問題」といった社会的問題に関する信念の影響が大きいことが示された。以上の結果から、GM食品に関するリスクコミュニケーションにおいては、安全性や機能的利便に関する議論のみならず、本人の倫理観やステレオタイプ社会心理学的要因にまで配慮する必要があることが推察される。 本調査の他、効果的なリスクコミュニケーション手法開発に関連する研究として、消費者の能動的態度が食品情報理解に及ぼす影響や、食品パッケージ中の様々な情報の中で消費者がとくに関心を寄せる食品属性の抽出に関する実験的検討を行った。
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Research Products
(10 results)