2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体内の糖化修飾タンパク質を利用した、食事による糖尿病予防効果の評価法の確立
Project/Area Number |
22700780
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
奥田 徹哉 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究員 (20443179)
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Keywords | 糖尿病 / 栄養指標 / バイオマーカー / O-GlcNAc / 複合糖質 / 健康食品 |
Research Abstract |
現在の日本では糖尿病の発症率が高まっており、緊急の対策が社会的に必要とされている。本研究では、糖尿病発症の原因である高血糖により惹起される、細胞内タンパク質の「O-GlcNAc修飾」のレベル変化に着目し、これを指標として用いることで、食品が有する糖尿病予防効果を評価する方法の新規開発について検討した。当該年度では、まず目的とするO-GlcNAc修飾レベルの変化を高感度に検出・定量できるELISA法の確立に成功した。この方法では、薬剤処理によりタンパク質のO-GlcNAc修飾レベルを人為的に増大させた培養細胞から抽出した試料中のタンパク質のO-GlcNAc修飾レベルを相対定量が可能であった。さらに、マウス主要臓器から調製した試料についても同様に適用可能であった。一方、糖尿病の病態モデル動物の確立に関する予備検討を平行して進めたところ、マウス組織試料中に血糖値レベルに応じて発現量が変動する未知タンパク質を偶然的に発見した。このタンパク質は、目標とする指標物質としてのポテンシャルを有すると期待されたため、その同定を試みた。現在までに、LC-MS/MSを用いたMASCOT解析にて4つの候補タンパク質の抽出に成功した。 本研究の成果として、in vivoにおけるO-GlcNAcレベルの定量的な指標化、あるいはその他有用な指標物質の開発に成功すれば、これらを利用することで様々な食品が有する糖尿病予防効果を評価できるようになる。これにより従来の栄養学的指標に加え、より正確で有用な栄養情報を国民に提供することができる。
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