2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700781
|
Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
内藤 陽子 (駒田 陽子) 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (40451380)
|
Keywords | 睡眠 / 食行動 / 睡眠関連食行動障害 / 夜間摂食症候群 / 睡眠時遊行症 / 概日リズム / 睡眠不足 / 睡眠時随伴症 |
Research Abstract |
睡眠関連食行動障害(Sleep related eating disorder : SRED)は、睡眠障害国際診断分類(ICSD)第一版が作成された1990年前後に確立された比較的新しい診断概念である。ICSD二版においては、SREDは睡眠時随伴症に分類され、夜間睡眠中もしくは半覚醒状態で、無意識に食物の摂取や飲水を繰り返すことが基本的特徴とされる。しかしながら、SREDの病態は明らかでなく、誘発因子に関する研究は少ない。 本研究では、睡眠専門クリニックを受診し、SREDと確定診断を受けた45名の患者を対象として、カルテや検査所見を後方視的に調査した。SRED患者の平均年齢[標準偏差]は32.2[6.8]歳、発症年齢は26.5[7.0]歳で、男性が14名に対して女性は31名(68.9%)と女性の割合が高かった。BMIは22.4[3.5]kg/m^2、初診時のESS得点は11.7[5.4]点、発症後の体重増加は7.3[5.9]kgであった。SRED症状の発現時間帯は32例(71.1%)が睡眠前期に集中していた。発現頻度については、23例(51.1%)がほぼ毎日、6例(13.3%)が週2回以上4回以下であった。 小児期に睡眠時遊行症の既往のあった症例が15例(33.3%)、夜間摂食症候群(Nocturnal eating syndrome : NES)との合併例は27例(60.0%, SRED先行17名、NES先行8名、不明2名)、概日リズム睡眠障害の症状が認められた症例が8例(14.8%)存在した。普段の睡眠時間は、6:05±1:37(range : 3:30-10:00)で、7時間未満の者が73.0%を占めていた。 以上より、SREDは若年成人で発症し、女性の割合が高く、多くは症状が睡眠の前半に集中していること、NESを高頻度に合併することが明らかになった。SRED患者では一般的なNREM期のパラソムニアと同様の、睡眠中の不完全覚醒を生じやすい素因が関与している可能性があるが、これだけでなく、総じて睡眠時間が短めで睡眠負債が蓄積しており、しかも一部に概日リズムの乱れが存在する症例があることから、治療・予防にあたって、睡眠衛生にも十分配慮すべきと考えられた。
|