2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22700781
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Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
内藤 陽子 (駒田 陽子) 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (40451380)
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Keywords | 睡眠 / 食行動 / 睡眠関連摂食障害 / 夜間摂食症候群 / 睡眠時遊行症 / 概日リズム / 睡眠不足 / 睡眠時随伴症 |
Research Abstract |
睡眠関連摂食障害(Sleep related eating disorder:SRED)は、睡眠障害国際診断分類(ICSD)第一版が作成された1990年前後に確立された比較的新しい診断概念である。ICSD第二版においては、SREDは睡眠時随伴症に分類され、夜間睡眠中もしくは半覚醒状態で、無意識に食物の摂取や飲水を繰り返すことが基本的特徴である。海外での疫学研究によると、一般大学生での有病率は4.6%で、若年人口においては稀な疾患でないことが示唆されている。このように有病率については海外で小規模ながら若干の報告があるが、わが国においてはSRED有病率に関する研究は行われていない。 本研究では、海外で開発された睡眠時随伴症のスクリーニング調査であるミュンヘン・パラソムニア・スクリーニング(Munich Parasomnia Screening:MUPS)日本語版を作成した。原著者の許可を得た上で、一次翻訳、逆翻訳、専門家審査、パイロットテスト、校正の手順を経て、翻訳作業ならびに原版と翻訳版の言語上の意味や概念についての検証を行い、MUPS日本語版を完成させた。その後、19-25歳の若年者3600名を対象としてインターネット調査を実施し、MUPS日本語版、睡眠の質を総合的に評価するピッツバーグ睡眠質問票、QOLを評価するSF8(Medial Outcome Study Short-Form 8-Item Health Survey)、抑うつ尺度であるCES-D(center for epidemilogic studies depression scale)、基本情報(年齢、所属、性別、身長、体重、喫煙飲酒習慣、家族構成、治療中の病気の有無)に回答させた。その結果、眠ったまま料理をしたり何かを食べたりすることが月に1回以上あると答えた者は1.1%、生涯有病率(調査時点まで症状の経験があった者の割合)は7.0%であった。今後さらに、疾患の背景要因について統合的な探索を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請段階において、本研究の目的として(1)SREDをスクリーニングするための日本語版調査票の開発、(2)睡眠専門外来受診者を対象とした前向きコホート研究、(3)一般大学生を対象とした横断調査(SRED有病率ならびに抑うつ・QOLとの関係の解明)を掲げており、いずれも最終年度に向けて論文執筆の段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に翻訳し、言語的妥当性を評価した調査票「ミュンヘン・パラソムニア・スクリーニング(Munich Parasomnia Screening:MUPS)」について、計量心理学的検討を行う予定である。Fulda et al(2008)の手法に準じて、睡眠障害患者20名をランダム抽出し、医師による問診を行い、MUPS各項目の感受性・特異性を確認する。 また、インターネット調査で取得したデータに関しては、多重ロジスティック回帰分析を用いて、夜間摂食行動の関連要因を明らかにする。特に、睡眠習慣悪化の影響や他のパラソムニアとの関連、SREDリスクを上昇させる薬剤量を検討する。さらに、日中機能・抑うつ・QOLへの影響についても明らかにしたい。 これらの結果は学術誌に公表し、疾患の存在、特徴の普及に役立てたいと考えている。
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Research Products
(3 results)