Research Abstract |
本研究では,大学生を対象とするSD実践力としての科学リテラシー育成プログラムモデルについて,次の3点から提示することを目的としている。(1)SD実践力としての科学リテラシー到達指標の抽出,(2)SD実践力としての科学リテラシー育成プログラムの開発と実施,評価,(3)SD実践力としての科学リテラシー育成プログラムの開発と実施,プログラムモデルの提示。22年度はこのうち,(1)と(2)に着手した。 まず,(1)について検討をはかるために,英国においてフィールドサイエンスに基づいた学習を幅広い年齢層に提供しているField Studies Council (FSC)の文献資料を収集した。FSCでは大学生レベル向けに,地域における景観や生態学的特徴の変遷を歴史的に解説する教材を備えていることが分かった。FSCの資料から,地域の自然の変化を生態学的な特徴の変遷から捉えるならば,その変化をもたらす要因について大学生に読み取らせることがリテラシーとして重要になると示唆された。これらの研究成果は,International Organization of Science and Technology Education(於,スロベニア)およびthe World Conference of the Science and Technology Education(於,エストニア)の国際会議において発表した。 また,(2)としてプログラム開発を試みた。ここでは,地域にある自然や景観の特徴的な事柄に学生の意識づけをはかるようにした。プログラム開発の第一段階として,大学生が「持続可能な発展」から連想する用語について調査したところ,環境に関連する現状と未来,危険や危惧といったイメージがあると分かった。この結果について,日本理科教育学会第60回全国大会(於,山梨大学)で発表した。 SD実践力としての科学リテラシー到達指標の抽出について,今後も資料収集を継続するとともに,本年度の調査結果に基づき,次年度はプログラム開発と実践を進める。
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