2011 Fiscal Year Annual Research Report
ティーチング・ポートフォリオを用いた省察の深化による教育実習生の成長の質的分析
Project/Area Number |
22700810
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
谷塚 光典 信州大学, 教育学部, 准教授 (30323231)
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Keywords | 教師教育 / 教員養成 / 教育実習 / 臨床経験科目 / 教職 / リフレクション / テキストマイニング / eポートフォリオ |
Research Abstract |
本研究の目的は,教育実習生が作成するティーチング・ポートフォリオの記述を質的研究方法によって分析することを通して,省察が深化する過程を中心に教師として成長する様相を明らかにすることである。平成23年度は,次の研究を実施した。 1.国内外の教員養成における教員スタンダードに関する情報の収集を継続した。そして,収集した教員スタンダードに加えて,信州大学教育学部における学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー),中教審答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」における「教員として求められる4つの事項」,INTASCスタンダード等を参考しながら,教職ポートフォリオにおける自己評価の観点として7観点を提案した。 2.質的研究手法に関する分析ツールの収集を継続した。テキスト・データの分析ツールとして,TRUSTIA(ジャストシステム),Text Mining Studio(数理システム),PASW Text Analytics for Surveys(IBM)に加えて,WordMiner(日本電子計算),MAXQDA(VEIBI GmbH)を入手した。そして,分析ツールの操作・機能を習得するためのコース及びセミナー等を受講し,これらのツールを本格的に使用して質的分析を実施する準備を整えた。 3.教職志望学生が臨床経験を積み重ねる中で,教育実習に臨むに際して及びリフレクションを深化させることに対して教職eポートフォリオがどのような影響を及ぼしているかを検討した。教職eポートフォリオを相互評価・閲覧することを通して,1年次から共通の観点を用いて省察し相互評価し続けることによって自己・他者の成長を継続的に評価できること,先輩のePFを閲覧することによって教育実習への準備や教育実習後の課題の展望を持つことができること等,学生同士が成長し合えることが明らかになった。 4.本研究課題に関連して,次の研究発表を行った。「教職eポートフォリオの継続的利用の効果の検討-教育実習生のリフレクションの深化に果たす相互評価の役割-」日本教育工学会第27回大会,など。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3ヶ年計画の2年目である平成23年度は,本格的な質的分析を行うための分析ツールの収集と操作法の習得,そして,教職eポートフォリオが備える要件の検討と準拠するスタンダードの選定を中心に行った。 分析ツールの収集と操作法の習得により,最終年度である3年目で質的分析を本格実施する見通しが立った。また,「教職実践演習」の「履修カルテ」としても活用することになる教職eポートフォリオの自己評価の観点を提案することによって,信州大学教育学部で用いる12観点を策定することに貢献できた。 本研究課題の研究成果を,日本教育工学会第27回大会で発表できたことに加えて,関連する研究成果も発表できたこと等から,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
3ヶ年計画の最終年度である平成24年度においては,これまでの研究成果を踏まえて,本格的な質的分析に取り組む。収集した分析ツールを用いてのテキスト分析に加えて,教育実習生を対象とした追跡観察,面接実施,プロトコル分析の実施等を実施する予定である。 また,信州大学教育学部で用いている教職eポートフォリオ(履修カルテ)システムを改良し,教育実習生の自己評価と相互評価,さらに学部教員や教育実習校指導教員による指導者評価をより効果的に実施し閲覧できるように改善を図る。 そして,国内外の関連学会に参加し,情報収集をさらに進め,これまでの成果を発表して意見交換する。
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Research Products
(6 results)