2011 Fiscal Year Annual Research Report
授業の多様性の増大と教師のメタ認知を支援する指導案オーサリングシステムの開発
Project/Area Number |
22700811
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 雄介 名古屋大学, 情報基盤センター, 准教授 (70362019)
|
Keywords | オントロジー / 指導案作成支援 / メタ認知 |
Research Abstract |
授業の学習指導案(以下,指導案)の設計における問題点として,教師の創意工夫が求められているが,個々の教師の個人的知識・経験に基づく設計になりがちであることや,設計した教師の意図が暗黙になりがちであるということが挙げられる.本研究では,指導案の多様性の増大と質の向上のために(1)個別・一斉学習と協調学習のブレンディングを可能にし,(2)教師が自身の指導案作成プロセスを振り返り,指導案を改善することを容易にする,という2つの機能を持ったオーサリングシステムの実現を目指した.特に留意したことは指導案作成における教師の意志決定とそれに関わるメタ認知であり,指導案作成時に授業の設計意図を記録することを通じて指導案の質を改善することと,教師の指導案設計能力の両方の向上に貢献することを目指した. 本年度は最終年度として,本研究で開発したオーサリングシステムを実際の授業設計の現場に導入し,その影響について考察した.この実施においては,前年度から本研究の実施に当たり東京都中学校社会科教育研究会(都中社研)の協力を得ており,ここに所属する教師の授業設計と連携させて研究を遂行した.ここで得られた知見として, ・授業の設計意図の明示化 ・授業デザインの改善のきっかけの提供 ・カリキュラム研究への発展 の3つが挙げられる.この結果により,本研究で開発した記述の枠組みとオーサリングシステムによって,教師が自分自身の考えを振り返り洗練するというメタ認知に欠かせないプロセスが限られた事例であるが確認された.さらに,その質については都中社研で評価された上に全国中学校社会科教育研究会で発表されて高い評価を得た.
|