2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700817
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
市川 尚 公立大学法人 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (40305313)
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Keywords | 教育工学 / インストラクショナルデザイン / 教材シェル / 認知的方略 |
Research Abstract |
本研究はインストラクショナルデザイン理論を認知的方略(学習を工夫する作戦)として学習者が活用することに焦点を当てる.特に,認知的方略の効果的・効率的な学習環境の提案を行うことを目的として,教材が本来教える内容と併せて,認知的方略の学習を支援する教材シェルを開発する.教材シェルはアルゴリズムとして教授方略を組み込み,データとして知識を登録する(入れ替えのできる)システムを指す.初年度は特に,認知的方略の関連研究を整理することを中心に文献研究を進めた.本研究の関連領域としては,メタ認知,自己調整学習,自己主導学習などがあり,そういった関連研究とインストラクショナルデザインの原理として示されてきた認知的方略が成立する条件を踏まえながら,認知的方略の位置づけを明確化した.認知的方略の学習については,特に,(1)方略の選択と使用(有効性の認知やコスト感),(2)学習者や課題の特質や方略を適用するための前提条件,(3)方略を適用するための対象の設定,(4)自己調整を含むプロセス,(5)習得の長期化などに配慮する必要のあることが明らかとなった.また,インストラクショナルデザイン理論を認知的方略として扱う研究についても調査を行った.ARCS動機づけモデルの関連性の側面に関する訓練などID理論の一部を扱った事例や,課題分析図といった分析過程の成果物を活用している事例は見られるが,ID理論自体を学習者に方略として活用させる試みは見られず,研究レベルではあまり行われてこなかったことが明らかとなった.
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