2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700817
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
市川 尚 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (40305313)
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Keywords | 教育工学 / インストラクショナルデザイン / 教材シェル / 認知的方略 |
Research Abstract |
本研究はインストラクショナルデザイン(ID)理論を認知的方略として学習者が活用することに焦点をあて,教材が本来教える内容と併せて,認知的方略の学習を支援する教材シェルを開発することを目的としている.本年度は昨年度から引き続き,関連研究の整理をしながら,ID理論を認知的方略として活用する場合の要件について検討を行った.ID理論を認知的方略として活用する場合には,次の点に留意する必要があると考えられる:(1)ID理論はもともと設計者を対象としたものであり,学習者の利用は適さない場合もある.(2)ID理論のうちの一部を活用する場合があり,それによって理解に要する時間や方略の適用の効果,応用範囲が変わってくる.(3)ID理論自体を理解するためには,前提条件(下位技能)を満たしている必要がある。適用可能領域にも配慮する必要がある.(4)ID理論を方略として利用することが有用で手軽であることを学習者が実感できる必要がある.一方で習得に時間を要することも許容していく.(5)学習のためにはID理論を適用する事例に一回限りではなく,異なる事例に何度も適用できる必要がある.(6)学習対象の深い理解(専門知識)を必要とするID理論は,学習者の利用が困難な場合がある.また,これらの要件を踏まえ,教材シェルの枠組みが,認知的方略の学習に適していることを確認した.教材シェルでの学習によって,様々な教材に同じ方略が適用されることを自らの学習を進めながら時間をかけて体験し,方略への気づきを与えることによって学習者の方略への理解が深まり,その方略をその後の学習に活用していくことが期待される.さらに教材シェルのうち,ドリルシェルを題材として研究を進めることとし,タブレット端末への対応も含めて,システムの準備を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究背景の整理に当初の予定以上に時間を要したこと,および大震災の影響から落ち着くまでに長期にわたって研究が中断していたことが原因である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究については,当初予定していた通り教材シェル開発を進めるが,対象とする理論は1種類に留め,かつ実装を中心として,評価については期間を短縮して行う.一方で,教材シェル以外の部分でも,インストラクショナルデザイン理論を認知的方略として活用する可能性について,たとえば授業実践を行うこととして研究の不足分を補うこととしたい.
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