2011 Fiscal Year Annual Research Report
音声・点字による試験問題出題に必要な字注・意味注の挿入を実現するシステム開発
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22700835
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
南谷 和範 独立行政法人大学入試センター, 入学者選抜研究機構, 特任准教授 (90551474)
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Keywords | 視覚障害 / 読字障害 / 字注・意味注 / 単語新密度 / 同音異字語抽出 |
Research Abstract |
(1)システムの実装・評価に必要となる辞書データの編纂。 同音異字語の説明は、字注(「チュウ:注ぐの注」のような形式で漢字を1文字単位で説明する注記)と意味注(「イミ:ある表現に対応し、それによって指示される内容。」のように単語単位で意味内容を説明する注記)を適宜使い分けて用いる必要がある。前年度の調査から、特に字注に関しては、視覚障害者(児)に対する漢字指導・解説の広範な活動の中に位置づけることが可能かつ望ましいことが確認された。 そこで、整備中の辞書データを本システム専用のデータに終止させることなく「視覚障害者(児)のための字注・漢字説明辞書(仮称)」として広く提供すべく編纂を進めた。また、こうした辞書へのニーズを把握・分析するために学会、研究協議会などの機会を活用して視覚特別支援教育の現場スタッフからの十分な意見聴取を試みた。 (2)単語難易度を同定するアルゴリズムの検討とテスト実装。 試験問題中の同音異字語が存在する語のうちどの語に注記を付すかを判断しなくてはならない。今回、想定するテストメディアは、音声ないし(仮名分かち書きを用いる)日本語点字であり、音声単語親密度に立脚した難易度判定アルゴリズムが有望である。このテスト実装を行うとともに、前年度に整備したセンター試験国語の現代文過去問データ中で字注が付された語句の音声単語親密度を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
字注データの辞書としての有用性・提供意義が確認されたため、『漢字説明辞書』としての編纂が作業として増えた分、他の進捗に影響が出ている。他方で自動付与の対照として考慮していた「意味注」については、これまで2カ年の試験問題作成プロセスの調査の結果から、入力による国語辞書の検索が適切かつ十分という見解に到達し、当該開発が省略された。総合しておおむね順調な進展と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる24年度の主要な課題は、 1.「漢字説明辞書」としても利用可能な字注(詳細読み)辞書の公表・提供 2.国内外での研究成果の報告 3.ソフトウェアの開発完了と評価 となる。実践的に活用可能な成果物としての公表と、グループ・インタビュー等を導入した多角的な評価に留意する。
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