2011 Fiscal Year Annual Research Report
中央構造線における第四紀後期の運動特性に関する変動地形学的研究
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22700855
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
後藤 秀昭 広島大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (40323183)
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Keywords | 活断層 / 中央構造線 / 地形学 / 地理情報システム / 変位速度 / 四国 / 紀伊半島 |
Research Abstract |
本研究は、中央構造線活断層帯周辺を対象として変動地形学的な研究を行い、変位速度と活断層の地下構造の地域的な違いに基づいて、島弧中央の横ずれ断層の新期断層運動の運動特性を明らかにしようとするものである。具体的には、紀伊半島から四国にかけての横ずれ断層周辺の段丘地形を再検討し、第四紀学の最新の知見に基づいた合理的な地形発達に編み直すことを通して、数万年スケールでの平均変位速度の分布を検討するとともに、断層周辺の段丘面の変形様式に基づいた地下の断層面の地域的な違いとその要因を検討する予定である。 今年度は、断層変位地形に関する多様な地形情報(撮影時期の異なるオルソ化空中写真や国土基本図など)を地理情報システム(GIS)上で扱い、中央構造線活断層帯の地理情報データベースの構築を行った。紀伊水道においては海底地形を新たに判読し、海底活断層の連続と不連続を明確にした。 一方、すでに人工改変によって消滅しているが、変位速度や過去複数回の変位量を求めることが可能な重要な場所について、空中写真測量専門の業者に数値標高モデル(DEM)を取得してもらい、人工改変前の地形をGIS上で復元し、変位地形の分析を行った。国土基本図など、これまでの紙地図に比べて高い精度で繰り返し測量できることがわかった。さらに、人工改変の少ない時期(1960年代)に撮影された空中写真を用いてデジタル地形情報を自ら取得し、変位地形の分析に用いる方法について検討を行い、比較的簡易な方法でデータを取得しても、都市計画図程度の精度で測量可能であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
島弧中央断層全体の変位地形情報を統合し、網羅的に概観するとともに、重要な場所を絞って変位地形のデジタル情報の取得や地形測量を実施しており、ほぼ予定通り進捗しているといえる。地形情報を取得する新たな方法を検討しながら、中央構造線の変位地形に関する新知見を得ており、さらなる発展と深化が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
自ら行った空中写真測量の精度について検証作業を進め、高精度な測量ができるように技術を向上させるとともに、DEMを用いた変位量計測を行う。また、断層を挟んで数kmの範囲の段丘面の変形を明らかにし、断層面モデルのシミュレーションを行って断層面の傾斜に関する検討を行う。
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Research Products
(7 results)