Research Abstract |
本研究は、レーダーアメダス解析雨量を用いて対流降雨の回数を抽出するとともに,リモートセンシングによって得られる地表面温度や都市の様々な地理情報との関係について評価を行うものである.対象地域は東京都区部である. 2010年度は,まずレーダーアメダス解析雨量を用いて1997年から1999年の7月8月における昼間と夜間の対流性降雨の回数の抽出を行った.なお,本研究では12-18時を昼間,18-24時を夜間と定義している.また,本研究では対流性降雨に着目しているため,朝9時の地上天気図から関東地方が雨になっていない日,台風が接近していない日,寒冷前線・梅雨前線・低気圧が関東に接近・通過していない日を選定することで,総観場の違いによる影響を極力除去することとした.最後に,詳細な降雨回数の特徴を知るために降雨回数の階級を,1-5mm/h,6-10mm/h,11-15mm/h,16-20mm/h,21-25mm/h,26-30mm/h,31-35mm/h,36-40mm/h,41mm/h以上の9段階に分類を行い,分類された数値が1時間に1回降れば1カウントとした.これを集計し,その合計を降雨回数とした.次に,人工衛星NOAAに搭載されているAVHRRセンサを用いて1997年から2006年の7月8月における12時から15時までの地表面温度の取得を行い,コンポジット画像の作成を行うことで対象地域の代表的な地表面温度分布の抽出を行った。なお,使用した画像は関東地方に雲が顕著にかかっているデータおよび走査角が±40度以上のデータ(走査角が大きくなると幾何補正の精度が悪くなる)を除外している. 結果,対流性降雨の降雨回数は昼間,夜間ともに階級が上がるごとに都区部の降雨回数は減少するが,41mm/k以上の昼間では都市中心部から離れた地域で,夜間では都市中心部付近で若干の増加傾向を示した.また,東京都の地表面温度は関東地方の中でも高温ではあるものの,都区部を考察すると都市中心部の地表面温度は周辺の地表面温度と比べて相対的に低温となることがわかった.今後は対流性降雨と地表面温度の関係,都市の様々な地理情報との関係について評価を行っていくことが重要となる.
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