2010 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1感染による宿主NMDの撹乱がATL多段階発癌プロセスに及ぼす影響
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22700863
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 和民 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (60549591)
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Keywords | HTLV-1 / ATL / NMD / ウイルス自己複製 / ウイルスゲノムRNA |
Research Abstract |
これまで我々は、ヒトレトロウイルスHTLV-1のゲノムRNAが宿主細胞mRNA品質管理機構(NMD)の標的となり、一方HTLV-1のウイルス蛋白質RexがNMDを阻害することを示した。22年度は実験計画に従って、以下のような実験を行った。 <1.RexによるNMD抑制機構の解明> (1)NMDの中心因子UPF1とRexの相互作用をGST-pulldownで検討した結果、UPF1とRexが相互作用していることが分かった。また両者はNMDの場であるp-bodyで共局在し、さらに会合していることが分かった。 (2)HeLa細胞でβ-globin mRNA構造を利用したNMDレポーターをstableに発現する細胞株を樹立した(sHeLa)。 (3)Rexのリン酸化状態とNMD阻害機能の関係を検討した。sHeLaにRexを過剰発現させH-7(リン酸化阻害)によってRexのリン酸化を抑制すると、RexのNMD阻害機能は低下した。 以上の結果からRexとUPF1がNMDの場であるp-bodyで会合し、Rexのリン酸化状態がNMD阻害効果に影響することが分かった。今後これらのこととRexによるNMD阻害機構との関係を検討する。 <2.HTLV-1以外のレトロウイルスがNMD活性に及ぼす影響の検討> (1)HTLV-1RexのcounterpartであるHIV-1RevのNMD阻害機能を調べた。その結果HIV-1RevはNMDを阻害しなかったが、HIV-1TatによってNMD阻害が引き起こされた。よってHTLV-1、HIV-1ともNMDを阻害する機能を持つ蛋白質を持つが、HIV-1ではウィルス転写制御因子のTatがその機能を持つことが分かった。RexとTatはウィルス生活環では異なる機能を持つが、mRNA結合蛋白質であるという共通点からNMDに対して類似した影響を持つのかもしれない。
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