2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700864
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
王 嘉 九州大学, 生体防御医学研究所, 学術研究員 (60572245)
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Keywords | Mats / HIPPO / 肝臓 / オバール細胞 / 肝内胆管上皮細胞癌 / 肝癌 |
Research Abstract |
細胞内シグナル伝達経路の一つであるHIPPO経路遺伝子はショウジョウバエ器官サイズを規定し、哺乳類の細胞接着による増殖抑制・器官サイズ制御・腫瘍形成に重要な遺伝子である。Mats遺伝手はHIPPOシグナル経路の中核Latsキナーゼの調節サブユニットであり、転写補助因子であるYAP/TAZをリン酸化して、その核局在を排除することによって細胞増殖を抑制すると考えられている。我々はMats全身欠損マウスを作製したが、このマウスは胎生早期に致死となったことから、肝細胞特異的Mats1/2ダブルダブルホモ欠損マウスを作製し、2010年度には、著しい肝腫大、門脈周囲へ胆管様細胞の著明な過形成、胆管細胞癌の発症を見出した。さらに組織学的に胆管系祖先細胞(オバール細胞)(A6+, CK19+, Trop2+, CD34+)の過増殖や、周囲に同時に増殖した血管内皮細胞、星細胞、繊維芽細胞等の間質成分と癌の塊になって、門脈領域から中心静脈に広散する組織像が見られた。そのために、肝機能を担う肝実質細胞酸素不足で壊死になる肝小葉が多数に観察された。生後3週間は致死率がピークになる原因であると考えられている。また長期観察マウスでは、肝実質細胞癌と肝内胆管上皮細胞癌の発症することを明らかにした。さらに肝癌を呈する肝臓特異欠損マウスではMats下流の転写補助因子であるYAPやTAZのリン酸の減少とYAPのターゲット遺伝子であるCTGF、SURVIVIN等の発現の上昇を見出した。Matsが肝オバール細胞の増殖や両方向分化に重要であることを示唆した。現在肝細胞にも胆管細胞にも分化可能なオバール細胞由来の細胞株を用いて、MOB欠損により未分化性が維持されるのか、どちらかの細胞系譜のみに強く分化するか等の解析をすすめている。
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Research Products
(1 results)