2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700864
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
王 嘉 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 学術研究員 (60572245)
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Keywords | HIPPO / Mats / 肝臓 / Yap / 肝実質細胞癌 / 胆内胆管癌 |
Research Abstract |
Hippoシグナル伝達経路はショウジョウバエ器官サイズを規定し、哺乳類においても細胞接着による増殖抑制・器官サイズ制御・腫瘍化制御に重要である。Mats遺伝子はHippoシグナル経路の中核Latsキナーゼの調節サブユニットであり、転写補助因子であるYap/Tazをリン酸化してその核局在を排除することによって、転写因子Tead依存性の標的分子発現を抑制することで細胞増殖を抑制する。近年、Hippo経路の中に、Nf2,Mst1/2,Sav1(WW45),Yap遺伝子は肝臓組織において、組織構築や腫瘍発生に重要であることが報告されている。我々のこれまでの研究はMats1ホモMats2ヘテロ全身欠損マウスでは、高頻度に肝癌をみることを見出した。しかしながらMats遺伝子の肝臓細胞の制御機構はほとんど明らかになっていない。 我々は肝細胞特異的Mats1/2ダブルダブルホモ欠損マウスを作製し、Mats遺伝子による肝臓腫瘍発症制御について解析を行った。肝細胞特異的Mats1/2欠損マウスでは、生後直後から著しい肝腫大、門脈周囲へ胆管様細胞の著明な過形成を認め、これらの細胞の多くはA6,CD7陽性の肝幹細胞であった。長期観察のマウスは、28週例以降、ほぼ全例で肝がんを発症し、これらの肝癌は肝細胞癌(Hepatoma)、胆管細胞癌(Cholangiocarcinoma)及び両者混在する癌であった。生化学的には、Mats1/2ダブル欠損マウスはYapのリン酸化の減少、その下流のCtgf、Survivin等の発現の上昇を認め、Hippoシグナル伝達経路の活性化が著しく遮断されていた。Mats1/2ダブル欠損は肝幹細胞の増殖を制御することが考えられたため、次にマウスオバール細胞株にshRNAでMats1/2の発現を抑制したところ、Hippoシグナル伝達が遮断され、細胞増殖が亢進した。この細胞増殖の亢進は、活性化したYapを抑制すると、回復することから、Yapに依存性であることを見出した。以上の結果から、MatsがHippo経路の活性制御を通して、肝幹細胞維持機構に重要な役目を担うことが示唆された。 今後、Yap/Tazの標的遺伝子と肝幹細胞の増殖や分化の関連性を解明するのは肝癌治療薬開発につながるものと思われる。
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[Journal Article] Regulation of the MDM2-P53 pathway and tumor growth by PICT1 via nucleolar RPL112011
Author(s)
Masato Sasaki, Kohichi Kawahara, Miki Nishio, Koshi Mimori, Ryunosuke Kogo, Koichi Hamada, Bunsho Itoh, Jia Wang, Yukako Komatsu, Yong Ryoul Yang, Hiroki Hikasa, Yasuo Horie, Takayuki Yamashita, Takehiko Kamijo, Yanping Zhang, Yan Zhu, Carol Prives, Toru Nakano, Tak Wah Mak, Takehiko Sasaki, Tomohiko Maehama, Masaki Mori & Akira Suzuki
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Journal Title
Nature Medicine
Volume: 17
Pages: 944-951