2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の糖代謝亢進による細胞内シグナル伝達制御の分子メカニズム
Project/Area Number |
22700868
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野寺 康仁 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (90435561)
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Keywords | 糖代謝 / シグナル経路 / ヘキソサミン合成経路 / O-GlcNAc修飾 / 乳癌 / 3次元培養 |
Research Abstract |
本研究では癌細胞における糖代謝亢進によるシグナル経路の制御メカニズムについて、乳癌細胞の3次元培養を用いた解析を行ってきた。当該年度までに、がん形質の獲得においてヘキソサミン合成経路やその下流のO-GlcNAc修飾経路が重要であることを明らかにしてきた。その結果を踏まえ、癌細胞において糖代謝依存的にO-GlcNAc修飾を受ける蛋白質の同定、およびその役割についての解析を行った。 これまでの解析の結果から、幾つかの転写因子やシグナル伝達に関与するタンパク質などが候補として得られており、癌細胞の糖代謝依存性をよく説明するものであると考えている。上述の結果と合わせて、癌細胞における糖代謝亢進がヘキソサミン合成経路とその下流でのO-GlcNAc修飾を介してシグナルや転写を制御し、癌細胞の増殖や生存、形態変化(上皮極性の喪失や浸潤性の獲得)などを促進していることが示唆された。 また、以上の結果を踏まえ、上述の代謝経路の反応を担う酵素の発現量と乳癌患者の生存年数の関連性について解析を行ったところ、当該の酵素の高発現は予後の悪さとよく相関することが示唆された。従来のプラスチック上での2次元培養と比べて、3次元培養の環境はより生理的(あるいは病理的)な条件に近く、がんの性状を研究する上でもたいへん有用であることが示唆されてきたが、本研究で得られた結果もまた、実際の乳癌で起こっている現象をよく再現していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)