2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん微小環境制御転写因子Bach1の機能解明とがん幹細胞移植モデルマウスへの応用
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22700869
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 光代 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80400448)
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Keywords | BACH1 / がん微小環境 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、高感度にヒト癌細胞の生着、転移を評価できるモデルマウスを作出することにある。近年、我々はBach1^<-/->マウス由来胎児線維芽細胞(MEF)が癌細胞とのin vitro共培養によってヒト癌細胞の遊走能と浸潤能を亢進させることを見出し、免疫不全Bach1^<-/->マウスの作出が移植がん細胞の高感度生着、転移モデルに繋がるのではないかと考えた。しかし実際に研究を進めるうちにがん微小環境においてBach1は腫瘍に対して悪性化にも抑制にも寄与することが分ってきた。Bach1はストレス応答性の転写因子である。Bach1の細胞や組織における作用メカニズムの解明はがんの悪性化および抑制化機序につながる。Bach1の標的遺伝子の特定を目的に、Bach1抗体を用いたChIP sequenceを行った。2×10^8のMEF細胞から最終的におよそ10ngのChIP DNAを得た。このChIP DNAをライブラリー化し、エマルジョンPCRによって増幅させ、次世代シークエンス(SOLiD4)を用いてシークエンスデータを得た。シーケンスデータはBowtieによってリファレンスゲノムにマッピングし、MACSによってピーク検出を行った。結果、約3,000のBach1ゲノム結合部位が検出された。また、Bach1はゲノムへの結合の際、小Maf因子とヘテロダイマーを形成していることが報告されている。そこで、同様にMafKのChIP sequenceも行った。Bach1とMafKのピークでオーバーラップしたものはわずが400足らずであった。現在、Bach1標的遺伝子の同定のため、遺伝子発現マイクロアレイ解析を含めた更なる解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Bach1のがん細胞への効果が実験計画申請当初考えていたよりも、多岐にわたっていることが判明した。 Bach1欠損MEF細胞と乳癌細胞との共培養等の結果から、計画当初、微小環境(間質細胞)におけるBach1はがん細胞の定着や進展に寄与すると考えていたが、研究を進めるうちに、Bach1が癌細胞悪性化にも寄与する結果が得られてきた。また地震による細胞の損失の影響も大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
転写抑制因子Bach1の癌細胞への効果が多岐にわたることが判明した。Bach1の標的遺伝子を特定することで、Bach1による癌細胞悪性化およびがん細胞の悪性化抑制機序を明らかにできる可能性がある。従って、Bach1抗体を用いたChIP sequenceとBach1有無MEF細胞における遺伝子発現マイクロアレイによる網羅的なデータをもとにしたバイオインフォマティック解析およびウエットの実験(ChIP,real-time PCR,ウエスタンブロッティング、RNA 干渉実験等)を通してBach1の新規機能的標的遺伝子の特定を図る。
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Research Products
(1 results)