2011 Fiscal Year Annual Research Report
発がん性チロシンホスファターゼSHP-2による固形がん発症の分子機構
Project/Area Number |
22700877
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堤 良平 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50435872)
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Keywords | がん / チロシンホスファターゼ |
Research Abstract |
チロシンホスファターゼSHP2は、機能獲得型変異が小児白血病や固形がんの発症に関与し、がんタンパク質であることが明らかになりつつある。しかし、これまで発がんの鍵を握るSHP-2の基質は不明のままであった。本研究ではSHP2を介した情報伝達の解明ならびに、発がんにおけるSHP-2機能獲得型変異の意義の解明を目指している。 昨年度までに、核内での遺伝子転写機構に重要な役割を果たすPAF複合体を構成する分子の一つであるparafibromin/Cdc73が、SHP-2の新規基質分子であることを見出した。 本年度は、上記発見の詳細をさらに検討し、SHP2による脱リン酸化はParafibromin/Cdc73によるWnt/β-catenin経路の活性化を促し、細胞増殖シグナルを惹起することを示した。また、Parafibromin/Cdc73はこれまでがん抑制たんぱく質として知られていたが、SHP2依存的な脱リン酸化によってParafibromin/Cdc73の機能ががん抑制たんぱく質様機能からがんタンパク質様機能に移行することを示した。これらの知見は、これまで知られていなかったSHP2による核内転写制御機構を明らかにしたものであり、SHP2機能獲得型変異が引き起こす発がんの予防や治療に対し新たな視点を提供するものである。上記の成果をMolecular Cell誌に発表した。 以上のように、申請時に設定した研究計画の大部分の達成に至ったが、さらに上記に加え、これまで明らかにされていなかった核内におけるSHP2活性制御機構を解き明かしつつある。
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Research Products
(3 results)