2010 Fiscal Year Annual Research Report
INK4遺伝子座の制御機構とその破綻による発癌機構の解明
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22700880
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
神武 洋二郎 浜松医科大学, 医学部, 助教 (90531963)
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Keywords | INK4遺伝子座 / 細胞老化 / ヒストン修飾 / ポリコーム / ノンコーディングRNA |
Research Abstract |
正常細胞は、癌遺伝子が活性化すると癌化を防ぐために不可逆的に増殖を停止するしくみ(細胞老化)を持つ。しかしINK4遺伝子座が不活化した細胞では、Ras変異等の癌遺伝子活性化による細胞老化が誘導されない。従ってINK4遺伝子座は癌抑制において重要な領域であると考えられている。INK4遺伝子座には、CDKインヒビターp15、p16及びp53安定化因子ARFがコードされている。これらのタンパク質は非常に安定性が高く、その発現制御は主に転写レベルで行われている。しかし、その転写制御機構に関してはほとんど明らかとされていない。そこで本研究課題では、INK4遺伝子座の転写制御機構の全容解明を目的とした。本年度の研究により、(1)INK4遺伝子座近隣に複数の新規ノンコーディングRNAが存在することが明らかとなった。申請者は、それらncRNAをncRNAp16-A,B,C,Dと名付けた。(2)これらncRNAのうち,ncRNAp16-Dはp16ではなくARFの転写活性化に関与することが明らかとなった。(3)p53がHDACをARF遺伝子座にリクルートすることによって、その転写を抑制していることを明らかとした。以上本年度の研究により、ncRNA、p53、HDACによる多様なARF遺伝子座の転写制御機構が明らかとなった。
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