2010 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌細胞における有機アニオントランスポーターOAT1の薬剤感受性への寄与
Project/Area Number |
22700886
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 絵里子 東京農工大学, 女性未来育成機構, 助教 (00468513)
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Keywords | 化学療法 / 薬剤感受性 / 腎癌 / SLCトランスポーター |
Research Abstract |
腎癌への化学療法は、現在、その感受性の低さから全くと言ってよいほど行われていない。一方で、禁煙腎癌を始めとする固形腫瘍において、薬剤の排出だけでなく、再吸収を担うトランスポーターが報告されている。MTXを含む、比較的低分子量で親水性の高い薬物や一部の両親媒性の有機アニオン系化合物の取り込みに関して、近年複数のOrganic Anion Transporter(OATs)が同定され、注目されている。そこで我々は、腎癌細胞における取り込み型トランスポーターの薬剤感受性への寄与について検証し、これらの発現をコントロールすることによって腎癌の化学療法耐性を回避することになればと考えた。 以下、H22年度の研究実績について報告する。H22年度は、腎癌細胞786-Oに、OAT1siRNAをトランスフェクトしOAT1のノックダウンを行い、確かにADMの取り込みが低下することを共焦点レーザー顕微鏡で観察し、確認した。さらに、これに付随して、ADMによる細胞死の誘導が抑制される傾向がみられた。また、他の抗癌剤(CDDP,MTX,etoposide,vinbrastin)についても、アニオン性、カチオン性に関わらず、薬剤感受性の低下が同条件でみられるかについても検討を行ったところ、カチオン性の抗癌剤であるCDDPにおいては薬剤感受性の低下傾向は弱く、アニオン性抗癌剤のvinbrastinおよび、既にOAT1の基質となることが報告されているMTXにおいてのみ、薬剤感受性の低下がみられた。即ち、有機アニオントランスポーターであるOAT1の基質特異性は、抗癌剤の有する電荷の差異で担保されるものであることが示唆された。
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Research Products
(1 results)