2012 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌細胞における有機アニオントランスポーターOAT1の薬剤感受性への寄与
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22700886
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 絵里子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00468513)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 化学療法 / 腎癌 / トランスポーター / 薬剤感受性 |
Research Abstract |
腎癌への化学療法は、現在、その感受性の低さから全くと言ってよいほど行われていない。一方で、近年腎癌を始めとする固形腫瘍において、薬剤の排泄だけでなく、再吸収を担うトランスポーターが報告されている。MTXを含む、比較的低分子量で親水性の高い薬物や一部の両親媒性の有機アニオン系化合物の取り込みに関して、近年複数のOrganic Anion Transporter(OATs)が同定され、注目されている。そこで我々は、腎癌細胞における取り込み型トランスポーターの関与について検証し、これらの発現をコントロールすることによって、腎癌の化学療法耐性を回避することに繋がればと考え、本研究を遂行している。 本年度は、前年度までに作製したOAT1過剰発現細胞(HE293細胞)およびコントロール細胞において、数種のアニオン性およびカチオン性抗癌剤を用い、その細胞死誘導活性を評価した。その結果、いくつかのアニオン性抗癌剤において、OAT1過剰発現株細胞選択的に、細胞死誘導活性が認められた。このことから、OAT1の過剰発現により、アニオン性抗癌剤の取り込みが促進され、結果、腫瘍細胞への細胞死が誘導されたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、OAT1過剰発現細胞株でのin vivoイメージングを計画していたが、これについては結果を出すことができていない。しかし、この細胞において選択的にアニオン性抗癌剤に対する細胞死誘導活性が認められたことは、大きな進展といってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
OAT1過剰発現細胞株はEGFPを同時に発現するため、マウス皮下腫瘍モデルを今後作製し、上記のアニオン性抗癌剤数種を連続投与することにより腫瘍の退縮を蛍光イメージングアナライザにより観察・評価することが可能と考えられる。
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