2010 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系悪性腫瘍(骨肉腫)の未分化性維持に関わる微小環境の解明
Project/Area Number |
22700887
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 孝恒 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40407101)
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Keywords | 腫瘍 / 微小環境 |
Research Abstract |
骨肉腫幹細胞微小環境構成細胞 マウス皮下に形成した骨肉腫からsingle cell suspensionを作成し細胞表面マーカーを手掛かりとして構成細胞の同定を行った。その結果、腫瘍細胞(GFP陽性)に加えCD45+の血液細胞(大部分はF4/80陽性のマクロファージ)、Scal陽性の線維芽細胞が腫瘍を構成していた。免疫染色による確認では前者は腫瘍の周囲・内部に後者は腫瘍の周辺に局在していた。 癌幹細胞と微小環境構成細胞の相互作用の解明 微小環境の影響としてまず液性因子に注目した。GFP、F4/80、Scalを用いて細胞を分取した後、real time PCR法を用いて腫瘍細胞に比較して微小環境構成細胞で高く発現する液性因子をスクリーニングしたところ、Igf1,Fgf2,Lifなどが候補として上げられた。これらはいずれもin vitroにおいて骨肉腫幹細胞の増殖を亢進させた。さらに興味深いことにFgf2,Lifに関しては骨分化を強力に抑制した。Fgf2,Lifの添加により骨肉腫細胞内ではErk1/2の活性化が著明であった。免疫染色によりFgf2の発現は腫瘍の周辺で高く、Erk1/2は主に腫瘍の辺縁部での活性化が示唆された。マウスに形成した骨肉腫は周辺部が未分化で内部の骨化が著明である。周辺部の未分化性は微小環境から産生されるFgf2など液性因子によるErk1/2の活性化により維持されている可能性が示唆された。Fgf2,Lifに加えMek阻害剤を添加し骨分化を評価したところこれらの因子による骨分化の抑制は解除された。さらに、Fgf2は骨肉腫細胞の遊走能を亢進させた。以上から微小環境を構成する血液細胞、線維芽細胞から放出されるFgf2,Lifなどの液性因子は骨肉腫幹細胞の未分化性を維持し、増殖、遊走能を亢進させ腫瘍進展に有利に働く可能性が示唆された(現在投稿中)。
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Research Products
(3 results)