2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の変異BRCA1遺伝子修正による乳癌発生機序の解明
Project/Area Number |
22700888
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
シバスンダラン カルナン 愛知医科大学, 医学部, 助教 (30557096)
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Keywords | ヒト細胞遺伝子改変 / BRCA1 |
Research Abstract |
初年度は、BRCA1ホモ変異を持つ遺伝性乳癌由来ヒト細胞株の遺伝子ターゲッティングによって、同変異アレルの一方を修正し、野生型BRCA1タンパク質を復元することを目指した。ターゲッティング対象の細胞株には、エクソン20に一塩基挿入(5382insC)を持つHCC1937とエクソン2に二塩基欠失(185de1AG)を持つSUM1315MO2を採用した。 まず、アデノ随伴ウイルスの骨格を用いてBRCA1遺伝子修正用ターゲッティングベクターを構築し、上記の両細胞に感染させた。薬剤選択の後、遺伝子修正クローンを同定するためPCRに基づくスクリーニングを行った。しかし遺伝子修正クローンの単離が容易でなかったため、プロモータートラップ法の導入、調整培地の使用、ベクターと宿主細胞の比率の調整、薬剤選択時のG418濃度および薬剤開始のタイミングの調節など、様々な実験条件を検討しつつ遺伝子ターゲッティングを繰返し試行した。しかし、最終的にこの方法では目的とするBRCA1遺伝子改変クローンを単離することはできないと判断した。HCC1937細胞においては、スクリーニングPCR陽性の細胞集団までは得られるものの、そこから目的の単一細胞クローンを得る過程で遺伝子改変細胞を失うことが続き、機能性BRCA1遺伝子の復元が何らかの理由で細胞の増殖または生存に不利に働く可能性が示唆された。一方、SUM1315MO2細胞ではスクリーニングPCRの段階で明瞭な陽性の結果を得ることはできなかった。このことはSUM1315MO2がHCC1937以上に機能性BRCA1遺伝子によって不利益を被る可能性を示唆すると考えられたが、一方でターゲッティングベクターの構築など技術的な面に問題があった可能性も否定できない結果となった。
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