2010 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍内微小環境における骨髄由来免疫抑制細胞の制御機構の解明
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22700894
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
脇田 大功 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (30555404)
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Keywords | 腫瘍内微小環境 / MDSC / IL-6 / マクロファージ / 好中球 |
Research Abstract |
担癌マウス脾臓内で増殖するCD11b+Gr-1low、Gr-1mid、Gr-1high細胞はそれぞれ単球、桿状核球、分葉核球の形態学的特徴を示し、桿状核好中球(Gr-1mid)、分葉核好中球(Gr-1high)は免疫抑制能を示さず、単球(Gr-1low)のみが免疫抑制細胞(MDSC;骨髄由来免疫抑制細胞)であることを複数の腫瘍細胞株を用いた実験系により確認した。また、腫瘍組織内のCD11b+Gr-1high(分葉核球)、Gr-1low(単球)は共に強い免疫抑制能を示すことから、脾臓内好中球が腫瘍内微小環境の影響によってMDSCへと分化する可能性を、in vitro培養系にて検証した。担癌マウス脾臓より各CD11b+Gr-1+細胞を単離し、腫瘍細胞の培養上清存在化にて培養したところ、CD11b+Gr-1midの桿状核球は分葉核球へと分化し、CD11b+Gr-1highの分葉核球は、過分葉好中球の形態を示した。腫瘍組織内では桿状核球は存在せず、分葉核球のみが確認され、その大部分が過分葉核を呈することから、脾臓より浸潤した好中球が腫瘍内微小環境によって分化していることが示唆された。さらに、培養後の脾臓由来好中球を混合リンパ球培養系に添加し、免疫抑制能を評価したところ、非常に強力な免疫抑制活性を獲得していることが確認された。次に、脾臓由来好中球の免疫抑制能獲得に関連する腫瘍細胞由来因子を同定するため、腫瘍細胞より高度に産生されることを確認しているIL-6、TGF-bの関与について、組換えサイトカインを培養系に添加することで評価したが、脾臓由来好中球の分化は認められず、死細胞が多く認められた。本結果は、MDSCへの分化に複数の生存因子、分化因子が関与することを示唆しており、今後、in vitro、in vivoでの評価によって、MDSCの制御機構の解明を行う。
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