2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700901
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北野 正寛 独立行政法人理化学研究所, 免疫細胞動態研究ユニット, 研究員 (40549010)
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Keywords | 二光子 / イメージング / 癌免疫 |
Research Abstract |
本年度は一部の樹状細胞サブセットを可視化することのできる、新規に作製されたトランスジェニックマウスを用いて、抗原特異的な細胞障害性T細胞がエフェクター細胞へと分化し、腫瘍内にてその機能を発揮・維持するまでの一連の過程を生体内二光子イメージングにより可視化することを試みた。そのためにまず、従来主に用いていた還流システムによる摘出組織イメージングからマウス生体内イメージングのシステムへの移行を実施し、より正確に生体内のリンパ節や癌における免疫反応を再現することが可能となった。まずモデル抗原特異的なCD8+T細胞をマウスに移入し、タンパク質抗原ワクチンを投与し、その後様々なタイムポイントにおいて生きたマウスのリンパ節ライブイメージングを行った。その結果ワクチン投与から約20時間後の時点で、抗原の所属リンパ節において抗原特異的なT細胞が樹状細胞の特定のサブセットと安定に相互作用し活性化する様子が観察された。引き続く詳細なイメージング解析により、この抗原提示にはリンパ管を介しリンパ節に移動してくる樹状細胞が重要な役割を果たすことが明らかとなった。さらにこれらの活性化T細胞がその機能を発揮する腫瘍内のライブイメージングを行ったところ、リンパ節で活性化を受けた細胞障害性T細胞は血管を介し腫瘍部位に移行した後、腫瘍周囲の樹状細胞と相互作用している様子が観察され、腫瘍内におけるT細胞の増殖を誘導する可能性が示唆された。以上により、本研究では新規に作製されたトランスジェニックマウスを用いた二光子ライブイメージングを通じて、癌に対する細胞性免疫応答時における重要な細胞間相互作用を同定し、今後の癌免疫療法をデザインする上で新たな知見を得ることができた。
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