2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子を使った、甲状腺癌の高精度・高感度・迅速診断法の開発
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22700906
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤岡 宏樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (90392381)
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Keywords | 癌 / ナノ材料 / 量子ドット / 診断 / 甲状腺 |
Research Abstract |
本研究は、甲状腺癌を特異的に認識するIgM抗体(JT95抗体)とナノ粒子を組み合わせることで、癌抗原の検出感度を飛躍的に高め、血液検査による甲状腺癌の診断法の開発、及び穿刺吸引細胞診の更なる精度向上を目的としている。将来的に、患者サンプルによる診断試験を行ない、臨床における有用性を検証、患者負担の少ない腫瘍検査法を開発する事を目指してきた。 当該年度は、ナノ粒子を使って効果的な検出を行なうため、その前段階である(1)JT95抗体の認識効率向上に向けた検討、(2)サンドイッチELISA法を使った抗原検出法の構築、及び(3)抗原糖鎖構造の推定について検討を行なった。 (1)認識効率の向上に向けた検討では、スペーサー付きのビオチンをJT95抗体へ導入すると共に、ビオチン化反応比を詳細に検討し、最も効率の良い反応条件を見出した。また、(2)抗原検出法の構築では、JT95抗体と種々のファイブロネクチン(癌胎児性ファイブロネクチン、血漿ファイブロネクチン、または細胞型ファイブロネクチン)を認識する抗体を組み合わせたサンドイッチELISA法を検討し、JT95抗体同士を組み合わせた手法が最も抗原の検出に適していることを見出した。更に、(3)抗原糖鎖構造の推定では、甲状腺未分化癌細胞(SW1736)の可溶化物から糖鎖を単離し質量分析を行なった。その結果、alpha2-6/2-3のシアル酸構造が多く検出されており、JT95抗体がこれらの糖鎖構造を認識している可能性が示唆された。 現在、これらの研究成果を用いた臨床研究が進められており、血液からの抗原検出法の精度を検討している。今後、ELISA法による検出とナノ粒子による検出とを比較し、精度・感度を検証、より良い腫瘍検査法の構築を進めていく。
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Research Products
(4 results)