2010 Fiscal Year Annual Research Report
小細胞肺癌特異的に発現するCADM1バリアントを分子標的とする転移抑制法の開発
Project/Area Number |
22700914
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩井 美和子 東京大学, 医科学研究所, 技術専門職員 (50396884)
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Keywords | 小細胞肺癌 / 細胞接着分子 / CADM1 / スプライシング・バリアント / 癌転移 |
Research Abstract |
小細胞肺がんでは高頻度に細胞接着分子TSLC1/CADM1の特異的スプライシング・バリアントの過剰発現が認められるが、その病理学的実態と機能は、未だ不明である。本年度は、CADM1を介してSCLCが悪性増殖・転移能を獲得する分子機構とその抑制手段を明らかにすることを目的として以下の実験をおこなった。まず、ATL同様、SCLC細胞においてもCADM1とTiam1との相互作用が見られるかを免疫沈降実験で検討したところ、SCLC細胞株においては、Tiam1との結合が認められなかった。次にTiam1の類似分子であり同様にPDZドメインを有するTiam2との相互作用を検討した。Tiam2は11種類のSCLC細胞株においてRT-PCR法およびウエスタンブロッティング法により7種類の細胞株において発現が認められた。内在性Tiam2およびCADM1との免疫沈降実験を行ったところ、結合は認められなかった。そこでTiam2の報告されている3つのスプライシングバリアントのcDNAを外因性に発現するプラスミドを作成し、SCLC細胞に発現させたうえでCADM1との結合を免疫沈降実験で見たところ、結合は認められず、また免疫染色において細胞内における局在を比較したところどちらの分子もフィロポディア様の細胞局在を示すものの、共局在は認められなかった。以上のことから、SCLCにおいてはATLと異なり、CADM1は、Tiam/Racとは異なる分子経路に関与していることが示唆された。 SCLC細胞株ではc-Metの高発現が認められるが、CADM1非発現SCLC株にSCLC特異的CADM1バリアントを外因性に発現する安定細胞株を作成したところ、c-Metの増幅が認められた。現在、c-Metの下流分子についても検討を行っている。
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