2011 Fiscal Year Annual Research Report
小細胞肺癌特異的に発現するCADM1バリアントを分子標的とする転移抑制法の開発
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22700914
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩井 美和子 東京大学, 医科学研究所, 技術専門職員 (50396884)
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Keywords | 小細胞 / 細胞接着分子 / CADM1 / スプライシング・バリアント / 癌転移 |
Research Abstract |
小細胞肺がん(SCLC)の高転移能に着目し、その分子機構を解明し、転移抑制を目ざすための基礎的検討を行った。まず、SCLCに特異的に発現するCADM1のスプライシング・バリアント8/9がSCLC手術組織35例中10例(29%)に発現すること、SCLC細胞16例中、壁非依存性増殖を示す14例全例で発現するのに対し、壁依存性増殖を示す2例では全く発現しないことを確認した。次いで、CADM1非発現SCLC細胞にCADM1を導入すると、ヌードマウス皮下における腫瘍原性を有意に促進すること、一方CADM1高発現SCLC細胞で、siRNAによりその発現を抑制すると、スフェロイド様増殖が部分的に抑制されることを見出し、CADM1バリアント8/9がSCLC特異的な診断、治療マーカー候補であることを示した(文献1)。次に、SCLC細胞におけるCADM1下流分子経路に着目して、ATL細胞で同定したCADM1下流因子で、RAC活性化機能を有するTiam1とその類似分子Tiam2の発現を検討したところ、CADM1と相関する発現様式を認めたが、免疫沈降法によるCADM1とTiam1、Tiam2との結合は見出せなかった。一方、固相化CADM1上での細胞伸展性を指標とする独自の検索法により、CADM1経路阻害因子として同定したPI3K阻害剤LY294002について、SCLC細胞への効果を検討したところ、一定の増殖抑制効果を示し、また、CADM1からPI3Kに至る経路上の分子群についてもSCLCで高発現することを見出した。しかしPI3K阻害剤のSCLC細胞に対する効果は、他の腫瘍細胞と差異を認めないことから、さらなる特異的な治療が必要であることが示唆された。また、レチノイン酸がCADM1遺伝子の転写を活性化すること(文献2)、乳癌ではCADM1が癌抑制的に機能することを報告した(文献3)。
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[Journal Article] Expression of a splicing variant of the CADM1 specificto small cell lung cancer2012
Author(s)
Kikuchi S, Iwai M, Sakurai-Yageta M, Tsuboi Y, Ito T, Masuda T, Tsuda H, Kanai Y, Onizuka M, Sato Y, Murakami Y
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Journal Title
Cancer Science
Volume: (掲載確定)
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Aberrant expression of tumor suppressors, CADM1 and 4.1B, in invasive lesions of primary breast cancer2011
Author(s)
Takahashi Y, Iwai M, Kawai T, Arakawa A, Ito T, Sakurai-Yageta M, Ito A, Goto A, Saito M, Kasumi F, Murakami Y
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Journal Title
Breast Cancer
Volume: (掲載確定)
DOI
Peer Reviewed
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