2010 Fiscal Year Annual Research Report
上皮成長因子受容体リガンドを標的としたゲフィチニブ耐性化機構の解明
Project/Area Number |
22700922
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
岩永 健太郎 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (60380755)
|
Keywords | 肺がん / 耐性化 / EGFRリガンド |
Research Abstract |
肺癌分子標的薬ゲフィチニブの耐性化機構をEGFRリガンドの側面より検討し、ゲフィチニブ耐性獲得の新規マーカーを血清診断にて行うことを目的として今年度は以下の結果を得た。 1.非小細胞肺癌細胞株19種類について検討した。10種類はEGFR遺伝子変異がなくゲフィチニブ感受性なし、4種類は遺伝子変異がないがゲフィチニブ感受性あり、5種類はEGFR遺伝子変異がありゲフィチニブ感受性は見られなかった。 2.上記11種類の細胞株について、ERBBファミリーレセプターリガンドの発現量をリアルタイム定量PCRで比較した。ゲフィチニブ耐性の肺癌細胞株では感受性株と比較してNeuregulin 2,3の高発現を認めた。 3.ゲフィチニブ獲得耐性機序の解析目的に、上記細胞株の中からゲフィチニブ感受性株4株のうち、3株で耐性株を樹立した。また、同じEGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるエルロチニブ耐性株も同時に作成した。 4.上記獲得耐性株のうちHCC827について、ERBBファミリーレセプターリガンドを定量した。2倍以上を発現亢進、0.5倍以下を発現低下とすると親株と比較して、ゲフィチニブ耐性株ではAmphiregulin、Epigen、Epiregulin、HB-EGF、Neuregulin 1、TGF-αの発現亢進、Neuregulin 4の発現低下を認めた。エルロチニブ耐性株ではEpiregulin、HB-EGF、Neuregulin 1,2、TGF-αの発現亢進、Amphiregulin、β-cellulin、EGF、Neuregulin 4の発現低下を認めた。 以上の結果よりゲフィチニブの耐性化機構に複数のERBBファミリーレセプターリガンドが関与していると推定された。現在ゲフィチニブ獲得耐性株のERBBファミリーレセプターのリン酸化、下流のシグナル伝達系について解析を行い、耐性化の主要メカニズムを解析中である。
|