2010 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛プロトポルフィリン含有高分子ミセルとキセノン光源を用いる癌の光化学療法の研究
Project/Area Number |
22700927
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
方 軍 崇城大学, 薬学部, 准教授 (20412736)
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Keywords | ドラッグデリバリー / 光化学療法 |
Research Abstract |
本年度の研究は「研究実施計画」に基づき、亜鉛プロトポルフィリン(ZnPP)のミセルの最適化を中心に行った。期間中に以下のことを明らかとなった。 1.ZnPPのPEG化ミセルは、よい血中滞留性・ミセル安定性を示した。また、分子量2000のPEGより分子量5000のPEG、エステルはより安定したミセル構造/血中動態がみられた。しかしながら、PEGジレンマによりPEG-ZnPPミセルの細胞への取り込みが制限され、これはPEG鎖の切断(血中や腫瘍中のプロテアーゼにより)により改善できる。 2.SMAミセルは速やかな細胞内取り込みが得られたが、ミセルが安定性/血中動態が乏しかった。このことはSMAミセルにアルギニンの添加やSMAとZnPPとのconjugateを作ることにより改善できる。また、高分子量(例えば5000-6000)のSMAはSMAミセルの安定性が改善できる。 3.2種類のミセルの細胞毒性について、ヒト膵臓がん細胞ASPC1やPC1.0により検討し、SMAミセルはfree ZnPPとほぼ同様な細胞毒性を示し(IC50≒10μM)、PEGミセルはPEGジレンマ/細胞内取り込みの低下により活性が弱かった(IC50>20μM)。しかしながら、420nmのLED光源照射(10分間)することにより、両者とも強い細胞毒性を示した(IC50=2-5μM)。このことより、ZnPPミセルの光照射療法は活性酸素の産生に介して、細胞内取り込み非依存的に働くことわかった。 4.上記の光照射の殺細胞作用に伴う細胞内活性酸素の増加は蛍光試薬DCDHFにより検出された。 以上の結果に基づき、来年度(23年度)は1)血中に切れにくく、腫瘍に切れやすいエステルタイプの分子量55000のPEGによるPEG-ZnPPミセル、2)SMA-ZnPPのConjugate/ミセルを用い、in vitroでさらに多種の細胞株(上記のASPC1,PC1.0以外、子宮頸がんHela,大腸がんSW480、食道がんKYSE510など)における光照射殺細胞作用を検討し、さらに、動物腫瘍モデル(ザルコーマSl80、腺維肉腫MethAなど)を用い、キセノン光源による光照射治療効果を検討する。
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