2011 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛プロトポルフィリン含有高分子ミセルとキセノン光源を用いる癌の光化学療法の研究
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22700927
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
方 軍 崇城大学, 薬学部, 准教授 (20412736)
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Keywords | ドラッグデリバリー / 光化学療法 |
Research Abstract |
本年度の研究は「研究実施計画」に基づき、亜鉛プロトポルフィリン(ZnPP)のミセルの確立し、そのミセルを用いてin vitroとin vivoの検討を行った。期間中に以下のことを明らかとなった。 1.SMA-ZnPPおよびPEG-ZnPPの低い腫瘍集積性を改善するため、HPMAコポリマーを用いたZnPPミセル(HPMA-ZnPP)を作製した。HPMA-ZnPPが優れた血中動態を示した。経静脈注尉後長い血中半減期(t_<1/2>>12h)と腫瘍選択的な集積と貯留(>72h,EPR効果)が得られた。 2.1フリーのZnPPやSMAミセルと比較し、HPMA-ZnPPの細胞内取り込みは遅い。従って、in vitroの細胞毒性(HeLa細胞)が比較的に弱い(IC_<50>20μM)。しかしながら、420nmのLED光源照射(10分間)することにより、強い細胞・毒性を示した(IC_<50>=2-5μM)。また、照射前に培地交換しても同様な結果が得られたため、その毒性は細胞内に取込んだHPMA-ZnPPによるものと考えられた。すなわち、光照射により少量でも十分抗腫瘍活性が得られる。 3.HPM-ZnPPの光照射による一重項酸素(^1O_2)の産生をESRにより検出されたHPMA-ZnPPは生理状態の水溶液中に安定なミセルを作るが、細胞膜成分レシチンや腫瘍ホモジネートの中で、ミセルが崩壊し、フリードラッグが放出することが分かった。 4.マウスザルコーマS180モデルにおいて、HPMA-ZnPP(10mg/kg)1日おきに三回注射した結果、腫瘍増殖の抑制が見られたが、光照射、(HPMA-ZnPP注射24時間後、キセノン光源、5分間)により、その抗腫瘍効果が著しく上昇し、治療終了2週間後でも腫瘍の増殖がほとんど見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)高い腫瘍標的性を持つZnPPミセルの作製が確立できた。 2)In vitro、in vivoにおいて、znPPミセルのキセノン光源照射による抗癌作用を見出した。 3)ミセルの高分子素材について、課題申請当初計画したのはSMAとPEGでしたが、HPMAもよく使われる高いbiocompatibilityをもつポリマーですが、ミセノレ形成の目的が変わってない。 ほぼ計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
以上の研究実績に基づき、この課題について今後以下のことを検討する。 1)HPMA-ZhPPの光照射療法について、多種の腫瘍モデルを用いて検討し、さらに光照射の条件(光源の差異、照射時間・照射量)と治療効果との相関性を検討する。特に医療用内視鏡光源の応用性について検討する。 2)HPMA-ZnPP光化学療法の作用増強法(ニトログリセリンによる腫瘍血流増加)およびHPMA-ZnPPと活性酸素を産生する従来の抗癌薬(ドキソルビシン、ピラルビシン等)との共同作用を検討する。 3)HPMA-ZnPPの細胞内取込みの改善法を検討する。 4)ZnPPの蛍光性質基づき、HPMA-ZnPPの腫瘍イメジングの可能性を検討する。
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