2011 Fiscal Year Annual Research Report
微小画分の窒素固定速度定量-海洋窒素ミッシングソースを求めて-
Project/Area Number |
22710001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 書子 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (70360899)
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Keywords | 窒素固定 / PON画分 / TDN画分 / 硝酸 / 窒素同位体組成 / 海洋 / 一次生産 |
Research Abstract |
新しく開発された「高感度15N-PON(粒状有機態窒素)・15N-TDN(溶存態窒素)法」を使って、現在の海洋における結合態窒素収支のアンバランスを解決するために、過小評価されていると考えられている「窒素固定フラックス」の見直しを行った。 調査は、貧酸素層での結合態NのN2化速度が大きいことから、それを補う窒素固定速度も大きいと考えられる太平洋やインド洋で行った他、日本海や陸水環境でも行った。海水試料を深さ方向に6層採取し、総PONやTDNの窒素同位体組成の変化速度を定量する少容量培養実験(12,24,48時間培養)を行い、窒素固定速度の定量を行った。また、一次生産の新指標である溶存酸素の三酸素同位体組成や窒素循環の指標となる硝酸の同位体組成の定量も行った。窒素固定速度の見積もりの際、特にTDN(大部分がDON)画分への窒素固定率に着目し、生物種や環境因子(栄養塩濃度、硝酸の同位体組成、一次生産、水温、日射量等)との関係の解析を行った。 初夏の西部北太平洋の北緯10°から北緯40°までの海域調査の結果、西部北太平洋の低緯度から中緯度域では窒素固定が活発に行われていることが分かった。さらに、従来は無視されていたTDN(大部分がDON)画分への海洋窒素固定速度を、新分析法により初めて直接定量化することに成功し、その速度はPON画分への海洋窒素固定速度に匹敵する大きさであることが見積もられた。特に北緯30°~40°におけるTDN画分への窒素固定率は4分の3程度と大きく、生物種の解析から主にトリコデスミウムによって固定された窒素が培養期間中に二次的に放出された結果であることが考えられた。これらの結果より、海洋の総窒素固定量の見積値は、従来の倍前後に増大する可能性があることが示唆された。インド洋や日本海については、調査時期において、窒素固定が殆ど行われていない結果となった。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] 170,180,15Nをトレーサーに用いた陸水環境における溶存硝酸の起源および窒素循環の解析法2011
Author(s)
中川書子, 鈴木敦之, 大山拓也, 小松大祐, 角皆潤, 梅田信, 柴田英昭, 小畑元, 田副博文
Organizer
日本地球化学会
Place of Presentation
北海道大学(札幌市)
Year and Date
2011-09-14
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