2011 Fiscal Year Annual Research Report
森林土壌中の有機物分解がリン制限を受けている可能性の検討
Project/Area Number |
22710007
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
國頭 恭 信州大学, 理学部, 准教授 (90304659)
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Keywords | リン / 森林土壌 / ホスファターゼ / 可給態リン / リン制限 / 土壌微生物 |
Research Abstract |
森林土壌中の微生物群集がリン制限であるか否かを明らかにするため、森林土壌8点にリンを添加し、ホスファターゼ活性とデヒドロゲナーゼ活性の応答を調べた。仮にリン制限であるとすると、微生物活性の指標であるデヒドロゲナーゼ活性は増加し、リン獲得に必要なホスファターゼはその生産が不要となるため活性が低下もしくは増加しないことが予想される。リン添加区のデヒドロゲナーゼ活性/対照区のデヒドロゲナーゼ活性の比(RR-dehydrogenase)と、リン添加区のホスファターゼ活性/対照区のホスファターゼ活性の比(RR-phosphatase)を算出し、さらにこの2つの比(RR-dehydrogenase/RR-phosphatase)を求めた。RR-dehydrogenase/RR-phosphatase比は、リン制限の土壌では高くなるはずである。調査したところ、この比は土壌pHが低くホスファターゼ活性が高いためリン制限が疑われた土壌で高値を示した。このため、特にpHの低い日本の森林土壌において、土壌微生物がリン制限の状態である可能性が示された。 森林土壌中においてポリフェノールオキシダーゼ生産微生物がリン制限となり腐植分解が抑制されている可能性を検討した。用いた黒ぼく土2点と褐色森林土1点のうち黒ぼく土1点において、リン添加によりポリフェノールオキシダーゼ活性が有意に増加した。またこの土壌ではBiologプレートを用いた実験において、リン添加により細菌群集と菌類群集のいずれの活性も有意に増加し、また基質利用パターンも変化した。このため、微生物群集全体がリン制限の状態であり、腐植分解に大きく寄与するポリフェノールオキシダーゼ生産菌もリン制限の状態であることが推察された。また褐色森林土では、微生物群集がカリウム制限である可能性も示唆された。
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Research Products
(3 results)