2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射性核種を用いた海洋中層における有機炭素粒子沈降量の見積り
Project/Area Number |
22710025
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
川上 創 独立行政法人海洋研究開発機構, むつ研究所, 技術研究主任 (20415988)
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Keywords | 生物ポンプ / POC沈降量 / ^<210>Po / 北太平洋西部亜寒帯循環域 / 中層 |
Research Abstract |
海洋には、溶け込んだ二酸化炭素が表層で植物プランクトンの光合成により有機炭素粒子(POC)に固定され、それが深海へ沈降する、いわゆる「生物ポンプ」と呼ばれる過程が存在する。一方、表層から沈降したPOCは、中層(100-1000m)において分解過程の影響を強く受けることにより、その沈降量が深度増加と共に大きく減少する。本研究では、天然放射性核種^<210>Po及び^<210>Pbをトレーサーとして用いて、海洋中層におけるPOC沈降量の鉛直変化を定量的に把握することを目的としている。当該年度では、上半期に観測の準備を行うとともに、本研究に関連するセジメントトラップ実験にて採取された沈降粒子試料の分析を行い、海洋中層における沈降粒子の鉛直的な組成変化を把握するためのデータ取得を行った。そのため、2008年から保管していた^<210>Pb試料の分析は、2011年度の下半期に行うことにした。下半期では、北太平洋西部亜寒帯循環域の観測点K2(47°N,160°E)及び北太平洋西部亜熱帯域の観測点S1(30°N,145°E)において10-11月と1-2月に観測を行い、秋季及び冬季における試料採取及び分析を行った。これにより、次年度以降本研究を進める上で、観測点K2での^<210>Po及びPOCの水深1000mまでの鉛直分布を把握し、海洋中層におけるPOC沈降量の鉛直変化及び季節変動を解析するのに資するデータセットが得られたと考えられる。
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