2010 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化硫黄の新遠隔計測インバージョン法の開発:大気中3次元分布の解明
Project/Area Number |
22710026
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
入江 仁士 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (40392956)
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Keywords | 環境計測 / 二酸化硫黄 / MAX-DOAS / インバージョン |
Research Abstract |
社会的関心の高い広域大気汚染や地球温暖化の予測精度を向上させる上で、二酸化硫黄(SO_2)の動態解明は急務であり、新しいSO_2の観測手法の開発が切望される。SO_2の実態については、鉛直分布や長期変動についての知見は乏しく、また、水平分布についても地域的な偏りが生じてしまっている。そこで、本課題では、新たなインバージョン法を開発し、これまで測定したMAX-DOASの紫外可視域スペクトルデータを再解析することで、SO_2の高度分布を多地点で明らかにするとともに、同時に得られるカラム濃度データを用いて衛星データを検証し、緯度経度分布も定量的に明らかにし、この分野のブレークスルーを狙う。当該年度では、まずはSO_2濃度が比較的高いと考えられる中国で得られたスペクトルを基に非線形最小二乗法によるスペクトルフィッテングを実施し、SO_2の吸収帯をカバーする最適な解析波長範囲として310-320nmを選定、各仰角についてSO_2の差分スラントカラムを高精度で導出した。次に、放射伝達モデルを使って、SO_2のインバージョンに最適なエアマスファクターのルックアップテーブルを作成した。差分スラントカラム(仰角の関数)及びエアマスファクターテーブルを入力として、ロジャース最適法を用いて、SO_2高度分布と鉛直カラムを導出するアルゴリズムを作成した。上海郊外(如東市)において、2010年5-6月の平均値として、高度0-1km層のSO_2濃度は9ppbv、鉛直カラムは3.6×10^<16>molecules cm^<-2>であったことが分かった。期間中の変動幅(標準偏差)でそれぞれ、8ppbv,3.1×10^<16>molecules cm^<-2>とかなり大きいことが分かった。
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